第2話 取り戻す方法
朝食後、義妹にどうやってそのペンダントを手に入れたのか、その方法を聞こうと近付いたところ、「私のペンダントを盗もうとしないで!」と過剰な反応をされて、呆気に取られている内に逃げられてしまいました。
盗んだのは貴方でしょう、と思いはしましたが何故あれ程の反応をしたのか、理由がわかりません。
ともかく、あれでは今後近付いただけでも同じような反応をして来るでしょう。
「どうしたものでしょうね」
義妹はあの後、どこかへ出かけているらしく昼食の場に出て来ることはありませんでした。
さらに第2夫人の方の姿もいつの間にか消えていました。外出の予定は聞いていませんでしたが、屋敷のメイドの話を聞く限り2人は一緒に出掛けて行ったようです。
何を企んでいるのでしょうか?
まさか売るつもり? いえ、義妹の様子からしてその可能性は低いでしょう。ですが、ある意味、売られてしまう事が私にとって一番困る状況です。
あのペンダントそのものはそれほど価値のあるものではありません。しかし、普通手に入る物ではないので、高値で買う者はいるでしょう。そういう者に買われてしまった場合、取り戻すのが困難になります。
権力を使えば取り返すのは容易ではありますが、そういうことはしたくありませんし。
私の信頼性が少し揺らぎますが、教会へ申し出れば再度作ることは出来ますので、そうなった場合でも手が無いわけではないのですが。
夕食の場になっても2人は戻って来ることはありませんでした。
それどころか頭を抱えたくなるような情報が我が家に届きました。第2夫人と義妹が王宮に保護を申し立てたらしい、という情報です。
何度聞いても理解が出来ません。
あの2人に王宮で保護されるような価値はありませんし、理由もないはずです。
話の続きを聞くと、どうやらあのペンダントを悪用して自身を聖女として偽っているらしいですね。
あのペンダントは国の教会から認められた者だけに与えられる、所持している者を聖女と示す大事な物。なので歴代の聖女しか所持することはできませんし、ましてや売っていい物でもないのです。
しかし、まさかそんなことをするとは想定外です。いえ、よく考えればおかしなこともありませんね。
あの方たちは商家上がりで権力に貪欲なところがあります。だから私からペンダントを盗んだのでしょう。毎日のように我が家のことを貧乏貴族と罵っていた人たちなので少しでもお金のある上位貴族、あわよくば王族に付け込めないかと考えていてもおかしくはないでしょう。
普通に考えれば荒唐無稽なことだとわかることではあるのですが。まあ、安直な考えですから正解かどうかはわかりませんけど。
商家出身でありながら、貴族の第2夫人となったことで思い上がり、あのような態度をするような者たちです。さらに上の権力を、と思う事に何ら不思議なところはありません。
このような貪欲な部分は私たちも少しは見習った方がいいのでしょうけれど、あの方たちはさすがに貴族を甘く見過ぎですね。
しかし、王宮へ行ったとなれば取り返すのは容易になりました。
何せあそこには私の婚約者様が居るのですから。
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