小動物系美少女にマイナー教科を教えてみよう
勉強を教わりにクラスメイトがやってくることもあるが、昼休みはほとんどそれがない。
よって、俺は必然的に一人で昼食を食べることになる。
しかし、今日はそうでないようだった。
先ほどこちらを見ていた女子が、俺の机の前に立っている。
「地原くん、教えてほしいところがあるんだけど……」
「ああ、どの教科? 数学?」
昼休み、教わりに来るクラスメイトは珍しいが、いないわけではない。
俺は手慣れた調子で教科を確認する。それによって使う教科書が違うから。
「えっと、その、地学……」
俺は目を見開く。
「地学って、geoscienceの地学?」
「じお……? たぶん、そう、理科の」
そこでようやく目の前のクラスメイトに興味を持って、よく観察する。
彼女は、女子の中でも特に小柄で、童顔にロングヘアの少女だった。さっきの陽キャよりスカートが長い。
「で、地学のどこを教えればいい? 俺は地質のほうはそれほど得意じゃないんだけど」
「天体のところ、です……。ここ」
彼女が取り出した参考書を開き、該当のページを指さす。幸いなことにそこは俺が既に解いたところだった。
解法を解説する。
「ああ、そっか、そうだよね、ありがとう。ごめんなさい、その、迷惑かけて」
「いや、別に迷惑じゃない。ほら、人に教えると知識が定着するって言うじゃん」
「うん、えっと、ありがとう」
彼女は軽く一礼してその場を去ろうと踵を返す。
「あ、待って。君、名前は?」
「わたし、は……。えっと、星野
「星野さん、もしよかったら、たまに一緒に地学やろうよ」
俺の提案に、彼女は少しだけ視線を落とす。怖がらせてしまったかもしれない。
「えっと、嬉しい、です……!」
想像とは違う方向性の言葉に、思わず彼女の顔を覗きこむ。
彼女は顔をくしゃくしゃにして笑っていた。その笑みがリスやウサギみたいに可愛らしく見えて、俺は直視できない。
「今週末、空いてる?」
「はい」
「それなら、図書館集合で早速一緒に地学やらない?」
「やりたいです……!」
かくして、俺と星野さんは一緒に地学をやる仲になると同時に、今週末に図書館で一緒に地学をやることとなった。
俺は、それがかなり嬉しかった。
これまで地学が趣味と伝えても、変わり者だと思われるか、せいぜい持ち上げられて終わるかくらいで、一緒にやってくれる人は一人もいなかった。だから、地学が趣味だということはあまり言っていなかった。
でも、今日は地学について話し合える人ができて、しかも一緒に地学をやる予定まで入れられた。大収穫だ。
明日は普通に学校があるのでそれほど長い時間を割けるわけではないが、せっかく他人と一緒に地学をやるならさらう程度に復習をしておこう。
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