第2話・会遇

殺して!?

殺してって何だよ!怖いよ!私たちデスメタルバンドじゃないよ!(いやデスメタルバンドもそうじゃないけど)

「あ、間違いました!サインください!」

「どう間違った!?」

「今のは願望です」

なお怖い!!

サイン、サインなら殺してより全然マシか・・・。

いや待て!サイン、していいのか?

さっき解散したからなぁ。元ってつけなきゃいけないのか?

ん〜???

「ホント大好きで!ずっとライブも行ってました!文化祭のやつとかマジ伝説です!」

文化祭のも知ってるのはかなり昔から好きでいてくれたのか。

文化祭ってほぼ初ライブだし。

「またライブ楽しみしてます!!」

あー言えねー解散したって言えねー。

「あ、ありがとうございます。サインでしたっけ。どちらに?」

とりあえずサインして逃げよう!

「腕は・・・は右はダメか、切りすぎてる。左はもう入ってるし。背中!背中は見えないからなぁ・・・」

サインってマジックで書くんだよね?

何で選択肢が身体オンリーなの?怖いから!

「ここでお願いします!」

細い太もも、もう細ももだよ。何この細もも。

「本当に書いて良いんですか?」

「お願いします!」

最後のサインが太ももって。

まぁいいやガッといくか!

「んっ・・・あ!・・・ひゃ!」

「変な声出すな!」

「え?出てました?」

何とか書き切った!

「おお〜〜!ありがとうございます!家宝にします!ではボクはこのままタトゥー屋に行くので!」

「待てー!何する気だ!」

「何ってこのサイン彫ってもらうんですよ」

「やめろ!!」

「何でですか?このままいけばモーメントはもっともっと伝説を作りますよ。メジャーも全然いけます!インディーズ時代のサインめっちゃレアじゃないですか!SSR!古参ぶってマウント取りたいんですよ!」

色々拗れてんなぁこの子・・・じゃなくて!

「あーえっとなそんな価値ないからサイン、もうなくなるバンドだし」

正確にはなくなってるけど。

「なくなるバンド・・・?」

「あーモーメントは解散するんだよ」

「は・・・・・??」

そう言うとファンの子はその場に倒れた。

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モーメント3 ~うしろから見る新しい君たち~ 藤いろ @willwar

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