第23話
「もともと応援していたけど、そのとき命の恩人になったレッドハートは今でも尊敬している!」
「いや、あれって、みんなで力合わせた結果だし」
「そうだよ、分かっているじゃん」
このこの、と軽くつつく。
(言いたいことって、そっちじゃないんだけどな。他にもすごい奴はいるから、レッドハートだけはやめろって)
「まあ、俺が言いたいのは、エブリバディーガーディアンズの武器召喚すれば、いいんじゃないって話」
「あ、なるほどな」
前置きが長かったが、やっと理解できた。
(魔物と怪人がどっちが強いかとか分からねえけど、1人分の武器なら、雑魚の怪人なら十数体。最初の頃なら、その日に出てくるメインの怪人の巨大化する前なら倒せたしな。あの蜘蛛、巨大といっても、ビルほどの高さはない訳だし。…まさか、この後さらに大きくなったりしないよな?)
勇真もこの後のことを考えて、希望の光が見え出した。
考えていることで、もやも銃の形を作っていく。
しかし。
「俺にあいつらの武器を使う資格はない」
そう言って、もやは消えてしまう。
「いや、そんなの本人にしか使えないんだから、当たり前だし。別に、今からやるのって、どこかの倉庫に入れられているかもしれない武器を取り出すんじゃなくて、空想で作り出すだけッスよね?本物って訳じゃないんだし」
希望の光を消してなるかと、必死で言い繕う。
「俺はもうあいつらの仲間じゃないんだから」
ぐっと唇を噛み締める。
「まあ、候補に上げただけだから。そこまでいうのを、形作るなんて難しそうだしね。まだ、全体像が写った画像も見つけられないし。うん、他の探してみる」
また、井上はスマホに視線を向ける。
今、優魔はどうなっているのか。
顔や体に切り傷があるが、ギリギリ持ち堪えていた。
「優魔、大丈夫か?」
「勇真さんの体でも痛みを感じるんだね」
「俺の体を何だと思ってる」
そんな軽口叩けるなら、まだ余裕はありそう。
でも、膠着状態のままである。
こうなると、仕方ないが逃げることはできそうにない。
救助が来るまで、待つしかなさそうだ。
そうなるとしても、自分の体になっているとはいえ、子供に任せっぱなしにする訳にもいかないから、早く召喚したいが、まだうまくいかない。
「どう?やっぱり、難しそう?俺もさっきみたいに召喚できるようになるの数年かかったから」
やはり、たった数分でものにするのは難しい技術だったようだ。
頭を抱えたいが、巨大蜘蛛が攻撃を待ってくれる訳がない。
「優魔、右から攻撃が…!」
そう言うと同時に左の脚も優魔に向かってくる。
「ぐっ…」
二つの脚が向かってきた威力は凄まじく、優魔は後ろに突き飛ばされる。
「優魔!」
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