喇叭水仙

@kanzakiior

ラッパスイセン

喇叭水仙らっぱすいせんはなは、なんてうつくしいのだろう。けれど、ぼくはこのはなきらいだ。何故なぜなら、過去かこおもすから。


そう。あれは、出会であいとわかれの季節きせつ中庭なかにわ出会であった1ひとりおんな


最初さいしょ一目惚ひとめぼれだった。はるおとずれをらせるような、あたたかなそよかぜかれ、さくらとともになびつややかな黒髪くろかみ

まるで、ルビーのようにあかく、まれそうなそのひとみに。

ぼくこころは、うばわれてしまった。


けれど、そんなこころ嘲笑あざわらうかのように、彼女かのじょぼくこころをぐちゃぐちゃにした。


彼女かのじょにはおもびとがいた。スタイルもく、高身長こうしんちょうで、性格せいかくもいい、好青年こうせいねん

ぼくとは真逆まぎゃくの、如何いかにもモテそうな相手あいてだった。


かれらに名前なまえをつけるなら、まさしく、"美男美女びなんびじょ"。

はたからてもわかる。相思相愛そうしそうあいで、いたような、うつくしい恋愛れんあい


がないとわかっていても、それでもぼくは、彼女かのじょおも気持きもちはめられなかった。

彼女かのじょとすれちがたびたびに、とめどなくあふれる恋心こいごころ


3さんねんわり。ぼく彼女かのじょおもいをつたえた。

結果けっかいていて、ぼく彼女かのじょむすばれることなんてないけど、

自分じぶん後悔こうかいをしたくなくて、3年間さんねんかんおもと、彼女かのじょわすれるため。屋上おくじょうして、花束はなたばともに、いままでのおもいをつたえた。


はな名前なまえ喇叭水仙らっぱすいせん

ゆきのような純白じゅんぱくさが、なんともえぬさみしさをかんじさせるはな


彼女かのじょ喇叭水仙らっぱすいせんわたしたとして、彼女かのじょはこのはな意味いみ理解りかいしてくれるだろうか。

ぼく彼女かのじょいだあわ恋心こいごころを。そして、それが"むくわれないこい"だとうことを。


きみには純白じゅんぱくがお似合にあいだよ。元気げんきでね。」


最初さいしょ最後さいごぼくこい


はださるようなかぜなび黒髪くろかみに、彼女かのじょなか純白じゅんぱく喇叭水仙らっぱすいせんれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

喇叭水仙 @kanzakiior

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る