第33話 ※※※※

 今にも消え入りそうなほどに、その人影は揺らめいていた。

 事実として、この世界から存在が消滅するのは時間の問題だった。





 人影は思った。

 彼は無事、使い魔との契約を果たして大いなる力を手に入れることが出来た。

 多少癖のある能力だが、強大な力なのは確か。

 いずれ使いこなせるようになるだろう。

 私は本来、既にこの世界に干渉できる存在ではない。

 ゆえに、そうなる前に自らの現身うつしみを、力の残滓をこの世界に残した。

 その力を使って、彼をこの世界に呼んだ。

 そして彼の私に関する生前の記憶を封じた。

 千界管理者に彼と私の繋がりを知られないため。

 そして、いくつかの布石を打った。

 使い魔との契約の機会を設けた。

 千界管理のシステムに一部干渉した。

 疑似精霊契約は必要だが、管理者達を完全に信用しすぎるのも好ましくない。

 管理官補佐の名前が手頃だったので、その認識(翻訳)も多少弄った。

 それ以外にも、少しばかり影から彼を手助けしたりもした。

 だが、それも終わりが近い。

 今の私は、残留思念の搾り滓のようなもの。

 もう、見守ることすら出来なくなる。

 あとは、ただ待ち続けるだけ。

 いつか、彼が私のもとに辿り着けるその日まで…。





 人影は、去り行く少女とその使い魔の少年を見送った。

 そして、名残を惜しむかのように揺らめいて、消えていった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 作者のにしき斎です。


 これにて1章の本編は終わりです。

 ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

 数話の閑話の後、人物、世界観等のおさらいを挟んで、2章に突入します。


 当初の予定では、1章は半分の15話くらいで終わる予定でした。

 『魂A氏』、『まじかる☆ういんぐ』、『ステッキの目と羽』等のネタ半分くらいは、当日(更新日)に思い浮かんで書き足しているからです。

 しかも、思い付きのネタの方が再利用率高いという奇妙な現象が起きています。

 その日書く予定の物は後日にスライド、再利用でまた尺伸びてまたスライド等の形で話数が増えていきました。

 『カーナ・ダオノフ』さんも当日組です。上席の人が居るっぽい雰囲気だけで出すつもり無かったのに何故か登場(名前ですら当日決まった)しています。


 さて、能力全然足りてないのに毎日更新とか無茶苦茶やってるな、と思う今日この頃です。

 なんと、ストックが全然ないのです。

 そもそも、22時更新予定なのに今時計見たら21時ちょっと前(今日の本編短いのに)という綱渡りっぷりです。

 書いていくうちに少しずつ上手になっていくといいなあ(ヲイ

 閑話とかで時間稼いでいる間に2章のプロットも構築せねば(ヲイヲイ


 こんな作者の拙作ですが、これからもお付き合いいただければ幸いです。

 よろしくお願い申し上げます。


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