第61話 最後の攻撃
ルイさんの放った風魔法はケルベロスの口の中で破裂した。
「グオォォォォ!」
真ん中の頭は口の中がボロボロになり真っ赤な血が滴り落ちる。
そりゃそうだ、
いわば口の中を鋭利なナイフでグチャグチャにかき回されてるようなものだ。
ダメージは相当なものだろう。
「グゥ……オォ、オォ」
ケルベロスは低く鈍い声で唸っている。
残るは右の首だけだ。
スピカさんはルーンを取り出し、
魔力で弾丸のように飛ばした。
攻撃は虚しく、ケルベロスに致命的なダメージを与えていない。
「やっぱりルーン程度じゃダメージは与えられないか……」
どうやら何かを試しているようだが、
スピカさんは何を狙っているんだろうか。
ケルベロスは傷つきながらも3人に攻撃を繰り出し、
膠着状態が続いている。
僕の投光魔法もわずか……、
時間が無い、頼みますよルイさん、エマさん、スピカさん!
「くそ、残った首が厄介やな……風ブレスってことは風属性やろ? 私と相性悪いし、うちらで相性がいいのはおらんで!?」
「私も魔力はさっきので使い切りましたし……」
「なんだっていい! 攻撃を続けるわよ」
3人は何とか攻撃を続けるがいずれも決定打に欠けている。
なんとか解決の糸口があれば……。
「ハイド様の特訓を思い出して……火は土に、土は水、水は風、風は火に強い、エマが火でルイが風、私が土……」
スピカさんはブツブツと何かを呟いている。
何か策を練っているんだろう、
スピカさんはこのパーティの頭脳だ。
きっと解決してくれるはずだ!
「待って? ケルベロスは地底にいるのに土属性じゃない? そうか!」
何かを思いついたスピカさんは急いでエマさんとルイさんに指示を飛ばした。
「ルイ! エマ、集まって!」
「な、なんやて? この状況でか!?」
「わ、わかりました!」
一旦攻撃を中断し、スピカさんのもとに集まる。
そして何かを伝えた後、
スピカさんはルーンに魔力を込めてルイさんに渡した。
「これで少しは魔力を使えるわ、ルイ、最後の最後までアンタの風魔法に頼るわよ!」
鼻息を荒くしながらルイさんは両拳にグッと力を込めた。
「はい、頑張ります!」
これが最後の攻撃だ―――
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