第57話 3つのブレス攻撃
ケルベロスの右の頭は口から風を吐き出す。
高圧縮された気圧は火の海に放り込まれ、
爆風となって僕たちを襲った。
「ぐぅ! こ、これは……」
思わず僕も防御態勢を取らざるを得ない。
間髪入れずに左の口からは巨大な水の塊を放った。
水と言えど、ケルベロスが勢いをつけたいわば”水の大砲”無事で済むはずがない。
水の塊はスピカさんめがけて放たれ、
爆風によってバランスの崩したスピカさんは防御態勢をとれない。
「やばっ!」
そう思っていた矢先、ルイさんが風魔法で水の大砲を風圧で吹き飛ばした。
「はぁ、はぁ……危なかったです! 大丈夫ですかスピカさん」
「……やるじゃんルイ」
「こっちの心配はしてくれへんねや」
視線をエマさんに向けると、爆風によって顔は真っ黒こげになっていた。
どうやらケルベロスの攻撃を真下でもろに喰らっているみたいだ。
「え、エマさん! なんで避けなかったんですか?」
「あほぉ! ケルベロスの真下におんねんぞ、避けられるわけないやろ!」
ケルベロスはエマさんの声に反応して3つの首がエマさんを視界にとらえた。
「やばっ、ロックオンされたで!」
「離れてくださいエマさん! 一度態勢を立て直しましょう」
ルイさんの言葉でエマさんはケルベロスの足元を離れた。
「はぁ、はぁ、だいぶ手ごわいで、3つの首のせいで死角はないやろうし」
「加えて火、水、風のブレス攻撃と強靭な肉体を併せ持ちますからね」
「はぁ~、ハイド様なら一瞬なんだろうけどなぁ……」
そういってチラッとスピカさんは僕に視線を向けた。
それは僕だって手伝ってあげたい、
でもそれだと皆さんの成長につながらないんだ。
僕は心を鬼にして静かにスピカさんに視線を送り続けた。
僕の意図が理解できたのか、
スピカさんはケルベロスに集中した。
そう、スピカさんそれでいい、
今の皆さんに必要なのは、
目の前の脅威にどう対処するかだけです。
ケルベロスは機をうかがっている、
少しでも隙を見せたら飛び掛かってくるだろう。
両者のにらみ合いが続く中、
スピカさんが小声で口を開いた―――
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