第51話 未開の地って……

 頬から血が滴る。


えっ?


切った?


「え、ちょ、ちょ、え?」


「あ、ハイドさんには言ってなかったっけ? ルイはノーコンやねん」


「そうだった、忘れてたわ」


ノーコン?


「僕、もう少しズレてたら……」


「顔切れてるわな、真横に綺麗に」


「すいません! ハイド様、私うっかりして! ごめんなさい、ごめんなさい」


ルイさんは何度も僕に頭を下げた。


あまりに必死に頭を下げるもんだから僕は許すしかない、


それにわざとではないし。


「全然大丈夫ですよ、気にしないでもう一度唱えてみましょう」


「あかんって、今度こそ真っ二つやで」


「てか、一応魔法は唱えたんだからあとは風が壁に跳ね返ってくるのを待つだけでしょ?」


スピカさんはそういって左右の道をじっと見つめていた。


3人はしばらく眺めていたが、


風は跳ね返ってくる気配はない。


次第にアレ? という雰囲気が漂い、3人は僕の方を振り向いた。


3人の目が痛い。


「え~……、ゴホンッ、あの~1つだけ……この洞窟はそもそも出口というか、道は塞がってるんでしょうか?」


「……」


「この洞窟はまだ未開の地ですよね? 道がどこかに繋がってるかどうかわからないですよね?」


僕がそう言い放つと、3人は見たこともない顔で驚愕していた。


予想だにしなかったのか……。


ヘイレス洞窟は傾斜があり、緩やかな坂となっている。


奥に進めば進むほど地底へと進んでいくこの洞窟では、


果たして出口はあるのだろうか?


そもそも道は続いているのかどうかも怪しい。


僕は言った手前申し訳なくなってしまい、額に汗がにじむ。


恐る恐る目を3人に向けると、


3人の表情はまるで目から鱗が落ちたかのような表情を浮かべていた。


「そうやんな! 確かに出口があるともわからへんし!」


「そもそも道があるとも考えにくいよね!」


「そしたら私達のすることは1つだけですね!」


3人はコクッと頷いた。


「「「とにかく先に進む!」」」


そういって、3人は右の大きな道に進んだ。


恐らくまとまっていけるからかな?


とにかく、なんとかまとまってよかった―――

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