第50話 ヘイレス洞窟と左右の道
ヘイレス洞窟に辿り着いた僕たちは洞窟の中に入っていった。
発見されて間もないヘイレス洞窟は簡単に言えば未開の地。
洞窟内は整備されておらず光を灯すロウソクや燭台はなく、
薄暗い中を手元の松明で照らしながら進んでいくことになる。
ごつごつとした岩壁と、天井から水滴が地面に滴るあたりがいかにもダンジョンと呼ぶに相応しい雰囲気を醸し出している。
洞窟内はジメジメとした湿気臭い匂いが漂い、
どこから襲われるかわからない……。
地図もなければ情報もない、
僕たちは全くの手探りでヘイレス洞窟を進んでいく。
「なんだか気味悪いですね、この洞窟……」
「まぁ、最近発見された洞窟でまだ未開の地らしいからな」
「ここを発見した冒険者はあまりの不気味さにろくに調べもせずに逃げ出したってきいたわよ、まったく根性ないよね~、こっちは女3人だっての」
「ははっ、それは言えてるわ! たまにはいいこと言うやん」
危機感が無いな……。
大丈夫か?
まぁ、なんだかんだやってくれるだろう。
しばらく進むと道が二手に分かれている場所に到着した。
左の道は狭く人がギリギリ通れるほどの幅で、
右の道はかなり広く全員で通れそうだ。
さて、3人はどっちを通るんだろうか?
「う~ん、普通に考えれば右の道に行くのが良さそうですけど」
「でもこういう時は右に行くとなんかありそうやないか? 左が安全やったりして」
「どっちでもいいから早く決めてよ」
立ち止まって10分ほどが経過した。
このままだともうしばらくここにいそうだな……。
そう思っていると、スピカさんが何かを思いついたように顔を上げた。
「そうだ、ねぇルイ、風魔法を両方の道に唱えてみてよ」
「えっ? 風魔法ですか?」
「なるほど! 風で道を確認するってわけやな?」
「そういうこと、行き止まりなら風がもしかしたらかえってくるんじゃないかなぁと思ってさ」
「わかりました! いきますよ~」
ルイさんは風魔法を左右の道に唱えた。
ルイさんの風魔法は初めて見るな……。
どんな魔法だろう……か……!
魔法を唱えた瞬間、突風が僕の横を通り過ぎた―――
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