第23話 寝過ごした勇者とピースの森

「―――さん? ハイドさん?」


耳に心地い声が響く。


「ん?」


僕はゆっくりと目を開ける。


目の前には食べかけの料理が並べられており、


飲みかけのお酒が僕の目の前にある。


気が付くと、僕は机の上で寝ていたようだ。


「やっと気づいたのね、まったくそのまま寝ちゃうんだから」


机の上の皿を片付けながら、


マリアさんが優しく微笑み話しかけてくれた。


「あぁ! マリアさんすみません、僕ここで寝てしまったみたいで」


「ふふ、いいのよ。随分と嬉しそうな寝顔だったから起こしたらまずいかなと思ったんだけど……」


「僕片付け手伝います!」


「あら、これは私の仕事だから気にしないで? それより、今日からでしょ、3人の特訓」


「あぁ! そうだった……」


「もう起きてる頃だと思うから、行ってあげたら? こっちは大丈夫だから」


「すいません、ありがとうございます! 行ってきます」


僕はそう言ってマリアさんに頭を下げて、3人の宿屋向かった。


「あ! 来た来た、もう遅いでハイドさん」


3人はすでに宿屋の前で待っていてくれた。


僕はつくなりすぐに謝罪をした。


「ごめんなさい、僕寝過ごしていたみたいで……」


「私達は全然大丈夫です、それより、今日から特訓ですね、改めてハイド様よろしくお願いします」


「はい、そうですね。まずは皆さんの適性を知りたいので、ついてきてもらっていいですか?」


「適正? なんの適性を調べるん?」


「皆さんが何の武器を使って、何の魔法が得意で、耐性があるのかです。性格とかも含めて適性を図ります」


「武器? 全員の職業がわかってるのにやんのかいな」


「そうですね、自分の適性に合った武器や魔法を使わないと能力を発揮できませんから」


「なるほど、どうやってそれは調べるんですか?」


「はい、ちょっとついてきてください」


僕はそういって歩き出した。


3人は半信半疑になりながらも僕の後ろについてきた。


僕が向かったのはバルトガルト帝国の東に位置する森【ピースの森】だ。


森をしばらく歩くと大きく開けた場所に出る。


よし、それじゃ特訓開始だ!

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