第6話 過去と似た者同士
パーティ結成を祝して、乾杯をするとともに、各々自己紹介をすることになった。
まずは白魔導士のルイさん。
小柄で華奢な妹系キャラの彼女は、以前は他の勇者パーティに入っていたが、事情により脱退させられ、希望を抱いてこの酒場に来たんだそうだ。
白魔導士を脱退させるという事は相当な事情があったんだろう、僕はそれ以上深入りすることは無かった。
人には言えないことの1つや2つはあるし、
それを聞いたからと言って、ルイさんを脱退させるわけがない。
剣士の彼女はエマさんと言って、スラっとしたモデル体型にさばさばとした性格。
独特のイントネーションで話すさんは場を和ますのが得意で、
みんなの姉御的存在にすでになりつつある。
エマさんは前のパーティで単独行動をしてしまうことが多く、
かえってみんなに迷惑を掛けていると思って自ら抜けたんだそう。
しかし、1人で冒険をするのには限界を感じたらしく、
酒場に来たそうだ。
そして、黒魔導士のスピカさん。
胸元までありそうなロングの茶髪をツインテールにしているスピカさんは、
なんと貴族の家系らしい。
どこの貴族かは教えてくれなかったが、鼻高々に話している素振りから見るに、
相当な家系であることは間違いないだろう。
「それで? 勇者様は、自分のことは話さないわけ?」
エマさんに言われて、僕は自分の事を話した。
「あぁ、そうですよね。改めて……僕はハイドです、昔は僕もパーティを組んでいたんですけど、頼りないばかりにみんなに迷惑をかけ、嫌気がさしたのかみんなはいなくなってしまって……独りで冒険をしていました」
改めて自分の事を話しをするとつくづくなんてダメな勇者なんだろうと思ってしまう。
卑屈な気持ちになっていると、スピカがグラスに入った飲み物を飲みながら話始めた。
「ふ~ん、私らと一緒じゃん、もっと勇者様ってお高くて聡明な人だと思ってたけど、こんな人もいるんだ」
「えっ?」
「そうですね、でもいいんじゃないですか? なんだか私達似てますよね?」
「似た者同士ってやつやな。まぁ、よろしく頼むわハイドさん」
みんな……なんて優しいんだ!
この人達となら、上手くやっていけそうな気がするぞ!
そう考えると、僕はまたボロボロと泣いてしまった。
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