第5話 パーティ結成!

「ど、どうしたんですか?」


白魔導士の彼女は僕の涙に慌てふためいている。


「すいません、いきなり泣いてしまって。僕、嬉しいんです。やっと念願の仲間ができたので……」


「おぉい、こんなところで泣かんでえぇやろ、まぁ、私も1人やし、仲間に入れてぇな」


「いいんですか? あぁぁぁ!!!!!」


更に大泣きしてしまった。


恥ずかしい、けど、嬉しい!


仲間が2人もできるなんて、


ここに来た甲斐があったぞ!


「どんだけ嬉しかったんや! この調子やとこの辺りが洪水になるわ!」


「ふん、しょうもな」


黒魔導士の彼女はプイっと目を逸らしていた。


「あの~、黒魔導士さんもどうですか? 一緒にパーティ組みません?」


白魔導士の彼女が話しかけると、強い口調でいい返した。


「はぁ!? な、なんでこの私がこんな勇者のパーティに入らないといけないのよ!」


「えぇやんか、別にアンタも1人なんやろ? さっきのことは水に流したるから仲間にはいりぃや」


半ば強引に入れられそうな黒魔導士の彼女はブスッとした態度をしている。


そりゃそうだよな。


僕には何の力があるわけでもないし、


底辺勇者だと罵られたが、間違いじゃないし。


「ま、まぁ? どうしても入ってほしいって言うなら別にいいけど?」


「え? 本当ですか? ぜひ入ってください! お願いします!」


黒魔導士の彼女が入ってもいいって言ってくれるとは……


あぁ、パーティ……なんていい響きなんだ。


「パーティ……パーティ……ふふ、僕にもやっとパーティが―――」


「あの~、なんかずっと呟いてますよ?」


「一応聞こえはするけど、間違えたらパンティに聞こえんねんな、ようわからん勇者様やわ」


「まぁ、私が入るからには? 少しはマシな勇者様になってよね!」


「はい! 頑張ります!」


「よかったわね、勇者様、お仲間ができて。どう? ここで一杯していくかしら?」


「いいんですか? 皆さん、よかったら一緒に食べましょう! ここは僕が出しますので!」


マリアさんに勧められ、僕たちは酒場で祝杯を挙げることになった。


新生ハイドパーティ、ここに誕生だ!

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