第4話 久しぶりの仲間
3人はとても驚いていた。
「えっ? パ、パーティ!?」
白魔導士の彼女は再度聞き直した。
余程信じられなかったのか、口はずっと開いている。
「もしかして、お前は勇者なの?」
剣士の彼女は疑心暗鬼で、信じようとはしなかった。
しかし、黒魔導士の彼女は僕の前にひょこっと身を乗り出すと、目をキラキラと輝かせる。
「えぇ~、勇者様なんですかぁ? すご~い、お名前は何ていうんですかぁ?」
物凄い猫なで声で、体をすり寄せようとして来る。
さっきまでとは態度が全く違い、僕は思わず困惑してしまう。
「え、あ、ハイドです」
「ハイド……? どこかで聞いたような……」
僕の名前を聞いた瞬間、白魔導士の彼女が反応した。
「あの~、君の名前は?」
僕は黒魔導士の彼女に名前を聞こうとすると、腕を絡ませてきた。
「そんなことより~、私と早く冒険に出かけません? 私いい所知ってるんです~」
「おい、さっきまでとはえらい違いやないか、なんやねん男やと分かったとたんデレデレしやがって!」
剣士の彼女は引きはがそうと、手を引っ張ると、黒魔導士の彼女が僕の後ろに隠れようとする。
「や~ん、怖いです勇者様、助けてください~」
「あ、え、ちょ、ちょっと」
2人は僕の周りで追いかけっこを始め、酒場はとても賑やかになる。
「あの~、勇者様、ちなみにどんなクエストを今までやってこられたんですか?」
白魔導士の彼女が僕に尋ねた。
「僕は……恥ずかしい話、一番低いクエストしか……」
僕の話を聞いていた黒魔導士の彼女は、耳をピクピクと動かし、途端に豹変した。
「はぁ!? 底辺勇者かよ。期待して損したわ~」
「おい、そんなこと言わんでえぇやろ、勇者様も頑張ってんねんぞ!」
「ごめんなさい、皆さんの期待している勇者様じゃなくて……」
僕は申し訳なくなって、頭を下げた。
雰囲気は最悪だ。
やっぱりだめか……。
黒魔導士の彼女は雰囲気を察したのか、やや気まずそうだ。
「わ、私をパーティに入れてください!」
白魔導士の彼女は真剣な表情で僕にそういってくれた。
「い、いいんですか?」
そういうと、静かにコクッと頷いた。
僕に……仲間……?
そう思った瞬間、僕の中にあった何かが溢れ出して、思わず涙をこぼしてしまう。
やっと念願の仲間ができたんだ―――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます