相沢蘭子の場合・2
川村たちのこと、絶対に許さない。
中学のクラスで大きな顔をして、いつも偉そうに人を見てバカ笑いをしてる。茶髪で派手な顔をして、何かあると必ず誰かに命令して、自分の方が上の立場にいるってことを常に確認していないと気が済まない。
あいつらにされたことは、きっと一生忘れない。
クラスの男子に命令して、人のことを『ブス』と呼ばせてみたこともあった。その他にも、何度も人の下駄箱に偽物のラブレターを入れて、呼び出しに応じるか試したこともあった。
一番酷いのは、『罰ゲーム』として、わたしに告白をするよう男子に命令したことだ。
「なあ相沢、今は好きな人っているか?」
昼休みくらいにそんな風に声をかけてくる奴がいた。最初は少し心が動いたけれど、すぐに教室の隅で川村たちが笑っているのにも気付いた。
「相沢、お前のことが好きなんだ。付き合ってくれ」
放課後になると告白される。
でも、そこでOKをしたら大変なことになる。きっとその時の言葉を録音されて、また笑いの種に使われるのがわかっていた。
合計で八人もやられた。
他のクラスのろくに話したこともない男子まで連れてきて、わたしに告白させる。
「ごめんなさい。ウチは親が厳しいから、そういうのはちょっと」
どうにか角が立たないよう、理由をつけて丁寧に断り続けていた。
その度に、相手がホッとしたような顔をする。
それが辛くて仕方なかった。
「相沢の奴。男を振るとか何様なんだろうね」
川村たちがそう話しているのも聞こえてきた。わたしの耳に届いているのも構わずに、告白してきた男子と一緒にこちらを見てはゲラゲラ笑う。でも睨み返すこともできなくて、ただじっと気づかない振りをすることしか出来なかった。
だんだん学校に行くのも嫌になって、家に引きこもる日が続いた。
そんなある日に、『彼ら』と出会ったのだ。
「アナタは、『ニンゲンのダイヒョウ』に、えらばれました」と。
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