第23話 救出

「「ええ?レーシャ王女戻っていないんですか?」」


レーシャ王女が城に帰って来ていないらしい。

やばくないか?


「誘拐されたのか?」

王女様だしありえるのかも。


「トワ様、お手紙が来ておりますが・・」


メイドさんから渡される。

手紙?

嫌な予感がして直ぐに封を切った。


「トワへ少女は預かっている。一人で東側一番奥の倉庫へ来い」


僕は手紙の内容を音読した。

どうやら倉庫に捕らわれているようだ。


「今から行ってくるよ。ウェンディは待ってて」

「一人で行くの?誰か連れて行ったほうが・・」

「多分、僕の知っている人だから大丈夫・・手紙は王様に渡しておいて」

「わかったわ。気を付けてね」


手紙はウェンディに預けて、僕はレーシャが捕らわれていると思われる倉庫へ向かった。

倉庫は今の時期は使われていない場所らしい。

無人で錆びれた場所。


ギィー

ドアを開ける。


中は埃っぽい。

暗い所に二人の人と縛られている女性。


「よく来たな。じゃ、ちょっと殴られろや」


一人の男が僕に向かってきたが、こんな狭いところで魔法を使う訳にも行かない。

すかさず男の腹に蹴りを入れた。


「うっ!」

攻撃されると思っていなかったのか、ゴロゴロと転がる。

意外と弱いな。


「こっちは・・女の子に傷つけたら・・可哀そうだよなぁ」

ナイフがレーシャ王女の頬に当てられる。


「ば、今何をしているのか分かってんのか??監獄行きだぞ?」


近くまで来て顔を見たら、やっぱり兄たちだった。

手紙の筆跡に見覚えがあったからね。

レーシャ王女の隣にはシキ兄、転がっているのはロイド兄だ。


「そんな脅しきかねぇよ」


『風よ・・』


僕は埃っぽい室内を利用することにして、風を魔法で作りだした。

自分の周りは風で囲い埃を巻き上げる。


「何だ、この風・・目が開けられん」


予想通り、シキ兄は両目を瞑っている。

その間に、僕はシキ兄に跨り、ナイフを奪い取り床に投げた。



「「そこまでだ!両手を上げろ!」」


外から声がして、駆け付けた城の兵士たちがシキとロイドを捕まえる。

王様が手配してくれたのだろう。

僕はレーシャ王女の縄を解いた。


「居なくなった事に直ぐに気が付かなくてごめんなさい。怖かったでしょう?」

「トワ・・さま・・こわかった・・」


レーシャ王女は震えていて、しばらく泣いていた。

落ち着くまでしばらく待った。

王女って言っても普通の女の子だもんな。

怖いものは怖いだろう。

僕は彼女の頭を優しく撫でていた。


「来てくれて・・ありがとうございます・・」




兄たちは王女誘拐で牢屋に入る事になった。

一番上の兄が城に勤めていたのだが、責任を感じて退職するという。

これ、家とか大丈夫なのか?

爵位没収とかにならなければ良いけど・・。






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