第21話 王都に戻ってきた

「ありがとう。言いたいこと言ってくれて少しスッキリした気がするよ」

「そっか。良かった」


僕とウェンディは風魔法で、上空を飛んでいた。

さっき実家に戻ったばかりなのに直ぐに引き返すことになるとは・・。

あの親らしいっていえばらしいのだけど。


「トワ折角だから、何処かへ寄って行かない?このまま帰るのも勿体ない気がするし」


僕たちは王都の都でブラブラすることにした。

王都には居るものの、都の観光をしてなかったな。

ちょっとくらい遊ぶのも良いよね。


王都に戻ってきた僕たちは都を歩き始めた。

「相変わらず人が多いね」

「そうね。はぐれない様に手を繋ぎましょ?」


僕とウェンディは手を繋いだ。

彼女の暖かい手に触れてドキドキする。


「あ、あれ冒険者ギルドだね」


看板を見て、僕は指さした。

もちろん王都にもギルドはある。


「少しのぞいていく?」

仕事をするわけでは無いけど、気になったので覗いてみることにした。


建物は、プノン町よりだいぶ大きくて広い。

もしかしてギルド本部なのかもしれない。

相変わらず活気があって、人も多い。


ドアを開け、ギルド内に入ると視線が集まった。

ウェンディ結構可愛いからな。

隣の僕も何故か見られている気がする。


「聞いたか?勇者パーティに凄い奴が入ったらしいぜ」

「へえ~」


どうやら冒険者たちが僕の事を噂しているみたいでむず痒い。

ウェンディに突かれた。


「凄い奴だって~」

「あはは・・」




ふと奥を見たら、見覚えのある銀色の髪で白いフードの少女を見えた。


「トワ様?もう戻ってきたのですか?」

レーシャ王女が依頼書の貼ってあるボードの前に立っていた。


「用事が早く終わっちゃってね。折角だから冒険者ギルドを見に来たんだよ。レーシャさんはどうしてここに?」


「わたくしは、たまに冒険者ギルドへ来ますのよ。色々な情報がありますからね。それにしてもこの前は凄かったですわね。トワ様から魔法の使い方など、是非色々お聞きしたいですわ。よろしければ直接指導いただいても・・」


レーシャ王女は興奮しながら喋っていた。

やけに顔が近いんだけど。


「ちょっと、トワと距離が近すぎるわ。離れてもらえないかしら」

「あら、いらっしゃったの。ごめんなさい。全然気が付きませんでしたわ」


これ、喧嘩にならないよね?

「えっと、二人とも仲良くしてね?同じパーティなんだし」


「「トワは引っ込んでくれる?」「トワ様は引っ込んでいてくださる?」」


「は、はい・・」


び、びっくりした。

二人とも睨みあって何だか怖いんだけど。


「何だか知らんが、ああいう時は関わらないほうが良いぜ。それにしてもお前さんモテるんだなぁ。羨ましいぜ」


後ろから見も知らぬ男性が助言をくれた。





それから・・。

何故かレーシャ王女が僕の後をつけて来るようになった。

城の中を歩いているときとか、都で買い物をする時とか。

本人は隠れているつもりのようだが、バレバレである。


「うっとおしい・・」

ウェンディの本音が漏れている。


「ま、まぁ遠くから見ているだけだし・・」

「それが嫌なのよね・・どこかへ行ってくれないかしら」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る