第7話 希少素材の採取

「ギルドの仕事以外で、薬草採取するとは思わなかったな」


僕とウェンディは希少素材を採取することにした。

希少素材と言っても、町で売っていないだけで冒険者ギルドへ依頼を出せば手に入るものらしい。

手続きが面倒くさいとの事だった。

山さえ登れば、取りに行ける素材。

楽勝でしょ?って思っていたんだけど。


「はぁはぁ・・」


僕は山の中腹で、木の幹に寄りかかっていた。

甘かった・・疲れすぎて歩けない。


「トワ、全然体力無いわね・・貴族様だったんだからしょうがないとしても、冒険者するのなら体力付けないと・・」


僕はうつむいていた。

全く反論の余地は無い。


「もったいないけど・・仕方ないか。トワほら、飲んで」

ウェンディさんが、青い透明な小瓶を僕に渡してきた。


「それは?」

「回復ポーションよ。よっぽどの事が無い限り使わないんだけどね」

「・・そんな貴重な物、僕が飲んでいいの?」


僕はウェンディさんをじっと見つめる。

「良いって思ったから渡したんだから、さっさと飲んでまだ登るわよ」


ジーンときてしまった。

ウェンディさん優しすぎる。

前々から思ってたけど僕にすごく優しいんだよな。

このポーションが幾らなのか分からないけどきっと高価に違いない。


「有難く頂きます」

僕は瓶のふたを開けて、一気に飲み干した。


「少し休んで、そしたら薬が効いてくると思うわ」





その花は川の上流の水辺にあった。

澄んだ水の所にしか生えないバショウ花。

真っ白い花弁の花だ。

名前は同じだが、日本で見る水芭蕉とは全く違う植物。

メイスンさんから預かったショルダーバック・魔法の鞄アイテムバックに花を丁寧に根元から入れていく。


魔法の鞄アイテムバックに物を入れると鮮度が落ちないらしい。

便利なアイテムもあるものだ。

特殊な魔法がバックに施されていてとても高価なものだ。

僕は川のキレイな清水を手ですくって飲んだ。


「美味しい」

お水ってこんなに美味しいものだったんだ。


ウェンディは水を水筒に汲みはじめた。

僕も水筒をリュックから取り出して、水筒に注いでいく。

こっちの世界の水って随分美味しいんだけど、川の上流の水はまた格別みたいだ。




僕たちは町に戻り、町の食堂で夕飯を取っていた。

疲れているけど、ご飯は凄く美味しくて話しをしていると時間を忘れてしまう。

ウェンディは、いつの間にかお酒を飲んでいたらしく酔っぱらって寝てしまった。


「参ったな・・仕方ない宿まで連れて帰るか」


彼女を背中に背負い宿まで歩いて行く。

部屋が二階なので階段を登らないといけない。

やっとの事で彼女を部屋に寝かせて、自分の部屋に帰ろうとしたら僕の上着の裾を彼女が手が掴んで離さなかった。


そーっと引き離そうとしたら、今度は手を掴まれてしまった。

部屋に帰れない・・。


「仕方ないよね・・」


僕は言い訳を言いつつ、彼女の眠るベッドの隣で眠ることにした。

(朝、誤解されないと良いけど・・)

かなり疲れてしまっていたのか、床に寝転がっても寝ることが出来てしまった。





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