第6話 黒魔術士

呪いを解く方法――。

闇魔法とか、暗黒魔法とか言われているもの。

実際にはよく分かっていないのが正直なところだ。

と、いう訳で


「やっぱり、本職の人に聞いた方が早いと思うのよ」


とウェンディの発言で黒魔術を使うという魔法士の所に来ていた。

鬱蒼うっそうと茂る森の中の一軒の屋敷。

そこに一人で魔法士が暮らしているらしい。


「気のせいかもしれないけど・・不気味な雰囲気じゃない?」


ぼくは寒気を感じていた。

気候は温かく快適なはずなんだけど。

漆黒のカラスが何匹も行きかっていて、カアカアと鳴いている。

大きな屋敷にはびっしりとツタが生えていて、よくある幽霊が出る心霊スポットのイメージに近い。


「・・え・・えと」


まさかこんな所に住んでいるとは思わないじゃない。

異世界だし、普通に町中に住んでいるとばかり・・。

僕もこういうの苦手なんだけど・・・。



「いやあ、家が安かったからここに住んでるんだ。怖かったごめんね?んでわざわざボクんとこに来たって事は用があるんでしょ?」


コウモリやドラキュラが出てきそうな大きな屋敷の主は、意外と明るくあいさつを交わす。

灰色の髪でやせぎすな男は、真っ黒なフードを被り、不健康そうな顔色をしている。

年齢は40歳位だろうか?


「ボクはメイスンっていうんだ。・・へえ呪いかぁ。それは興味深いなぁ」

しげしげとメイスンは僕を見つめる。


「見た目じゃわかんないな。ちょっと待ってて」

メイスンは奥から木箱と羊皮紙を持って現れた。


「一応、魔力測定装置みたいなものなんだ。自作だけどね。これである程度分かるとは思うけど」


メイスンは、黒い羊皮紙に白い線で幾何学模様の魔法陣が書かれている紙をテーブルに敷き所々にカラフルな石を置いて配置する。


「真ん中に手を置いてみて」


僕は言われるがままに手を置いてみた。

空中に文字が光って表示された。

ステータス表示みたいなものなのかな?


「あ~成程ね。んでどうしたらいいかな~」

メイスンは急によろける。


「え?大丈夫ですか?体調が悪いとか」

「ああ、心配ないよ。この家に来てから何だか不調でね。目眩めまいがしょっちゅうあるんだ。ちゃんと寝てるし、食べてるんだけどね」

「え?」


その割に顔が青白いけど?

まさか、そんなことないよね?

僕はウェンディと顔を見合わせた。

この世界にも幽霊が居るのかな?

屋敷もそうだが、嫌な雰囲気が漂っていてそうとしか思えない。


「ちょっと時間かかるけどいいかな?調べてみるよ。報酬はお金より、希少素材を取って来てくれると有難いんだけど」


一週間後にまたメイスンの家に行くことになった。



メイスンの屋敷を出て、僕はウェンディと歩く。


「はぁ~何だか僕も体調崩しそうだよ・・呪いが無ければ二度と行きたくない」

「メイスンさんは体大丈夫なのかしら・・変なものが屋敷に住みついているとしか思えないのよね・・」


憶測でしかないけど、異世界にも霊的なものはあるらしい。


「光魔法の使い手なら何とかなるのかしら・・」


霊的な物も魔法で何とかなるものなのか?

そういえばアンデット系の魔物もいるからそうなのかもしれない。

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