灰色の日々
藤田朱音
灰色の日々
「あいにきて」打ち込んで少し間を置いて×が五回で何もなかった
最新のスマートフォンから漏れてくる貴方の言葉は薄くて軽いわ
ぬばたまのよるいとかなし黒髪も自律神経も乱れて頭痛
青雲の白さを探し空を見る泣き出しそうな五月末日
環状線二十三区の端っこで今日も過ぎ行く灰色の日々
袖にされたと涙を流していた君の「結婚しました」葉書に苛立つ
寂しいとか苦しいとかを吐き出して虚しくなって薬と飲み込む
「一番の復讐は楽しく生きること」貴方も誰かに復讐したいの?
若い時の苦労は買ってでもしろなんてハイジは教えてくれなかったわ
寝たら朝が来る寝たら朝が来ると言いながら夜更かししても朝は平等
はい、いいえ、いいえを五回六回と飲み込む日々の鬱屈はどこへ
はるの日の寒さが引きしあづさゆみ音もなく過ぐ寂しいよるに
スワイプ、タップスワイプ、スワイプ、マッチ二十時渋谷にて待つ
ゆふづくよ暁闇の空白はタオルケットに包んで溶かす
DMに爆破予告が届く午後光溢れる春の窓辺に
仲良しの君の苗字が変わるのをグループラインの通知にて知る
思い出は置いてきたよと笑う君とハイボールで飲み干す私
あの頃は私たちずっと無敵だった空の青さも輝いていた
大丈夫明日になれば笑うからだから今だけ泣かせてください
君の中の永遠になぞなれぬから沁みて気付くようささくれとなる
灰色の日々 藤田朱音 @akanefujita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます