君は僕に何をした?

@shenwan

第1話

「君は僕に何をしたのか?」

無機質な部屋は一気に取り調べ室のように変貌した。

20XX年XX月XX日、閉店間際のスーパーに買い物に行っていた田中健司は、ふと気がつくと、同じ学校の中山と出会っていた。

いつも閉店間際のスーパーは人が少ないから、すぐに彼を見つけた。

「よう、中山」と田中が挨拶した。

「いつもこのスーパーを使ってるのか?」と中山が訊いた。

「たまたま、遠いスーパーでも使ってみようと思ってさ」と田中が答えた。

「来週のゲーム大会の会場が遠いからなぁ、運動しとかないと、大会の前に疲れるよな」と中山が言った。

そんな雑談をしながら、2人は一緒に買い物をした。

彼らは仲が悪いわけではなく、中山とは友達数人で今週のゲーム大会に参加する予定だった。

今日もゲームで練習をする予定だ。

ちなみに、中山はチームの中で一番強い。

しかし、中山がいつも食べているのは不健康そうなカップラーメンやお菓子で、どう見ても不健康そうなものばかりだった。

一方、田中はチョコと水だけをカゴに入れ、レジに向かった。

すると、彼が中山の方を見ると、中山はいなかった。

そして、彼の手にはさっき買った商品もなくなっていた。

視界が一気になくなった。

「ここはどこだ?」そう思い、なぜか瞼を開けた。

視界が少しぼやけているが、交差点、道路の真ん中に立っていることに驚いた。

そして、トラックがやってきて、あっけなく彼は死んだ。


そうだ、そうだった。

何回も繰り返す、短いストーリー。

内容が荒いものもあれば、細かく決まっているものもある。

何回も何回も、いろんなストーリーをやってきた。

恋愛ものやホラー系、短いものや長いもの。

様々なジャンルを体験し、時には体が変わったりすることだってあった。

いつものように、暗い中を歩き出す。

最近はストーリーが決まった中で選べるようになってきた。

何千回、何万回目だろうか。

あぁ、今回のストーリーはうまくできただろうかと思いながら、ストーリーを選んでいる。

その時、今の黒い世界とは違う、ぽつんという音が鳴ったあと、真っ暗な世界にきた。

頭に少しおもり?何かがついているような感覚を覚えつつ、手や足などを動かそうとした。

足は動かなかったが、手は動いた。

本来の手の感覚のようなものが、表しがたいものだった。

頑張って頭のおもりを触り、別のところに動かそうとすると、視界が見えてきた。

周りには中山もいる。

手を見るとVRゴーグルのようなものがあった。

中山は驚いたような顔でこちらを見つめている。

いや、悠人といったほうがいいか。

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