3

  男の性戯せいぎが始まろうとしていた。


 お互いの舌をからめた「KISSキッス」、あるいは唇をあま噛み、舌を吸い、歯茎を…幾度となく、幾度となく繰り返される。


その最中も両の手は髪を撫で、胸を揉み、服の上からでも乳首をつまびく。


あらがいとまも無い程の愛撫に触れ、男の経験の深さを想う。


男の腕の中では、まるで『まな板の鯉』。

されるがまま、成すがままにされるのは、時に気持ち良いものだ…


男に身をたくしながら心の中で〈〉と囁いていた。


      ーーーーーーーーーー


前菜の三皿目は、シェフの言った通り、あわびのフリット。


あわびは小振りの物を丸ごと一つ使っており、茗荷みょうがのフリットが上に載せられている。

脇にはライムが添えられた。


初めて経験する組み合わせだ。


あわびは力を入れずとも、ナイフが入る柔らかさに…

シェフの技量を感じる。小振りだが肉厚のあわびに、この火入れ加減は絶妙だ。


あわびって不思議ですよね!」「生の刺身ではコリコリとして硬い位なのに、少し火を通してだけでこんなにも軟らかく為るなんて!」


「全く、不思議です。」男がうなずいた。


「男性の陰茎いんけいみたい…」


陰茎いんけい…ですか?」


「だって勃起ぼっきしている時は、あんなに硬いのにいってしまうとフニャフニャにってしまうでしょ!」

「不思議よ」


「ハハハッ」男が声を出して笑う。

「確かに不思議ですね…。」


少し間を置いてから

「確かに不思議ですけど…

 貴女も、充分に不思議です」


      ーーーーーーーーーー


熱いKISS《キッス》が続く中、男の唇が私の口許くちもとから離れ、ほほを伝い耳許みみもとに及ぶ。

男は耳の穴に向け大きく息を吹き掛け、耳たぶをむ。〈あっ!ピアス… 頭の片隅で思うが何も出来ない〉

男の右手はブラウスのボタンを外し始める。左手では袖口そでぐちのボタンを器用にも外し、ブラウスはまたたく間に私の身体からぎ取られた。


露出した胸元に男が舌を這わせる。


ブラジャーの隙間から乳首をさぐりだしながら、もう一方の手ではスカートのファスナーを下ろす。

重力の力を借りながら私のスカートを足下あしもとに落とすのに成功していた。



 男の愛撫はゆっくりだが着実に私を快楽に導いていた。

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Ka e ru @mariko1873

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