第35話:ルートガルザの完璧なる計画。
俺は次の日、大学を休んだ。
俺の女神様が危機って時に、それどころじゃないだろ?って話。
昨夜、リンデとエッチをしちゃったから今日の俺は賢者になっていた。
不道徳なことは一切考えなかった。
それはルートガルザも同じだったらしく、ヴァーラと一緒に朝から俺の家に
来ていた。
「さて、世界樹の件ですが・・・救う方法がないわけではありません」
「そうなんだ・・・お〜頼もしい〜」
「あの〜ルートガルザ、世界樹のことはオーディーン様にお願いしたら、なんとか
してくださるんじゃないかな?」
「それはどうでしょう・・・」
「もともと世界樹を作ったのはオーディン様ではなく、精霊の中でも一番強い力を
持つ月の精霊アルフェンリル様です」
「お頼みするのであれば、アルフェンリル様が妥当な線かと・・・」
「え〜月って・・・月に人なんか住んでないだろ?」
「あのですね、月と言っても、この地球から夜見える月のことじゃなくて
シルビリアースにある月のことですよ」
「あ〜なるほど・・・月って、他にもあるんだ・・・」
「アルフェンリル様にお会いして世界樹の寿命を止めてもらうことは
できないだろうかって思うわけです」
「あ〜俺には、分からないし、何の役にも立たないかもしれないけど
俺も、その月の精霊さんのところに行くよ」
「じっとなんかしてられない」
「じゃ〜私はシルビリアースに戻って世界樹の周りにたむろしてる暗闇の
妖精を一掃してくるよ」
ヴァーラがそう言った。
「それはいいのですが、ヴァーラひとりでは暗闇の妖精を撃退するのは
無理でしょう」
「それに世界樹の寿命が短くなってることで、あなたの力も衰えてきてるはず」
「大丈夫、私、普段どっちかつうとダークエルフと中がいいんだけど、
「実はベルクウェンディって言う、バロールに住む光のエルフとも仲がよくって
ベルクウェンディに一緒に行ってもらおうかと思って・・・世界樹が危機に
瀕したらエルフだって、人ごとじゃないからね」
「たぶん行ってくれると思いますよ・・・」
「ベルクウィンディなら暗闇の妖精を浄化してくれるはずですから」
「私はヴァーラはベルクウェンディと仲がいいのは昔から知っていましたよ」
「え?なんで?・・・ルートガルザ、なんで知ってるの?」
「ヴァーラ、私とあなたは、あなたが幼い時、一度会ってるんですよ」
「うそ、覚えてくれてたの?」
「忘れるわけはありません・・・私はその時から、あなたを見守っていましたから」
「え〜ルートガルザってロリコンだったんだ・・・」
「セイちゃんは余計なこと言わないの・・・感動的なお話なんだから」
「ま、そういう訳ですからベルクウィンディとも仲良しだって知ってました」
「そうなんだ・・・覚えてくれてたんだ・・・嬉しい」
「あの・・・ハグしてもいい?」
「え?おふたりの前でですか?」
「関係ないでしょ・・・今とってもルートガルザを抱きしめたいの」
「そういうことなら・・・どうぞ」
ヴァーラはためらうことなくルートガルザに抱きついた。
「ああ〜いいな〜、俺もしてほしいな〜」
「うちはいつもハグしてるでしょ」
「少しくらいいいじゃん・・・減るもんじゃなし」
「しょうがない人ね・・・ほら来て」
「では、ヴァーラにはベルクウィンディのところへ行っていただきましょう」
「あの〜私もセイちゃんと一緒にいたいんだけど・・・」
「もちろんリンデ様も一緒に月に来ていただきましょう」
「リンデ様には重要な役目があるんです」
「重要な役目って?」
「今回のことで、指輪は全員で使ってしまいます」
「次元を瞬時に飛べるのは私の杖とドワーフの指輪だけですから」
「もし、アルフェンリル様「月の精霊」を説得することができたとして、万が一にも
アルフェンロル様がシルビリアースに飛べないということになると、なんとかし
て行ってもらわねばなりません」
「実はオーディーン様に頼んでアルフェンリル様にアポを取ってもらってるんです」
「え〜なんて手回しがいいんだよ・・・恐れ入るね」
そこでですね、リンデ様にはスランジルファル「リンデの使い魔の馬」に
アルフェンリル様を乗せてシルビリアースに飛んでほしいのです。
光より速いスタンジルファルなら月とシルビリアースなどあっと言う間でしょう」
「私は杖がありますし、セイ様も指輪がありますから各々、単独でシルビリアース
に飛べます」
「ヴァーラには四つ目の指輪を渡しますから、それを使ってください」
「え?四つ目?指輪ってまだあったの?」
「セイ様・・・以前に指輪は全部で5つあるって言ったでしょ」
「残りの指輪は、ヴァーラのご友人ベルクウィンディが持ってます」
「私が渡しましたからね」
「え?いつ渡したの?」
「ヴァーラ、あなたが浮気だって騒いでた時ですよ・・・
私はシルビリアースで、今回の世界樹の話を知った時、暗闇の妖精を浄化する
ためには光のエルフの力がいると思ってベルクウィンディに会いに行ったんです。
そこで、のちにヴァーラがここにやって来るだろうから、協力してあげて
ほしいって、それで前もって指輪を渡しておきました」
「またまた、なんて先回りができて、手回しのいい魔法使い」
俺はつくづくルートガルザの優秀さに感心した。
さすが皇帝付きの魔法使いだけのことはあるな。
「さ、みなさんよろしいですか、計画通り、無事に世界樹を復活させましょう」
「でないと、すべて失うことになりますから・・・」
そして俺たちばそれぞれシルビリアースに向かった。
すべては世界樹を作った月の精霊アルフェンリルにかかっていた。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます