第31話:やって来たディーズのワルキューレ。

俺とリンデにとって平和な日々が続いていた。

あまり平和が続くと、まじで平和ボケしてしまいそうだ。

リンデともレスになることもなくラブラブしてるし・・・まあ俺が奉仕の精神で

リンデを飽きさせないよう努力してるからな。


俺の女神様は普段は優しい乙女でも、夜になると娼婦になる。

しかもリンデはどんどん感度がよくなっていく。

将来のことを考えると、ちょっと体力的に不安になるかな。

でもそういう営みも、いつかはフェードアウトして行って精神的なつながりに

なっていくんだろうな、なんて思った。


俺の大事なバイクは、俺のリッチな家の玄関を入った広間に展示車みたいに

止めてある。

そのほうが、すぐに出られるから便利なんだ。


リンデが言った・・・「ドラゴンみたい」って・・・。

リンデは俺のバイクをドラゴンちゃんって呼んでたので、それをまんま貰って

バイクの愛称をドラゴンにした。


マフラーから火を吹いて走る、まさにドラゴンだよな。


ところで、このところルートガルザの姿を見ないなって思ってたら向こうの

世界に帰っていたみたいだ。

時々、シルビリアースに帰ってるみたいだ。

だからその間、我が家に来て俺たちのラブラブな時間に水を差すようなことも

なかった。


もうずっと向こうに帰っててくれてもいい・・・ってたんだけど、いてくれると

何かと便利だからな・・・それに友達だし・・・。


ある日、俺の大学が休みの時、朝早くルートガルぜが俺のリッチな家ににやって

きた。

まあ、毎日のように尋ねては来るんだけどね。


「どうも〜・・・お邪魔します〜」


「は〜い・・・」

「なんだルートガルザ」


「なんだはないでしょリンデ様」


「おお、なんだルートガルザ、帰ってきてたのか?」


「まあ、ラブラブなカップルは言う言葉まで同じなんですね」

「まあ、いいでしょう・・・」

「実はですね・・・実はですね・・・実はなんですが」


「実は実はって、分かんないってば」


「あの・・・向こうに戻ってたらですね、そのどうしてもこちらの世界に

来たいって人がいまして・・・ 」


「え?ルートガルザ以外に、こっちの世界を知ってる人なんかいる?」


「私が教えました、リンデ様」


「え?誰に、誰に教えたの?」


「では、では一応紹介しておきましょうかね」

「ヴァーラ・・・入ってきなさい」


ルートガルザに呼ばれて、俺んちの玄関のドアを開けて誰かが入って来た。

それは、女だった。


「どうも〜」


女は入ってくるなり、俺たちのことを無視して俺のバイクのほうに興味を持った。


「ひゃーなにこれ?・・・こんなの見たことないわ・・・」

「すっげえ・・・私の使い魔と同じドラゴンみたい・・・」


それはシルビリアースの皇帝の葬儀の時、リンデやルートガルザの邪魔をした

ディースのワルキューレ「ヴァーラ・スキャールヴ」だった。

いつも黒い戦闘服を身にまとった乙女戦士の女神。

破滅と不吉の未来を予言する、人の運命に介入する役割を持つらしい。


つづく。


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