第26話:新居なんですけど。

それはまるでお城みたいな家だった・・・家っていうより屋敷?

敷地も広くて立派な庭がついていた。


「すごい家だね、セイちゃん」


「こ、これ・・・俺たちここに住むんですか?」


「そうですよ、今まで暮らしてきた部屋は、お休みの日にでも引き払って

ここにお住まいになってください」


「こんな豪華で大きな家、まじで固定資産税いくらくるんだよ・・・」


「そんな、せこい心配はご無用・・・お金のことは心配いらないと申し

上げたでしょ」

「すべて私にお任せあれ」


「で・・・右の家が、私の新しい住まいです」


「お〜〜〜隣どうしてすごいリッチ」


「わざわざ離れたところの家を構えると何かと不便ですから」

「これなら毎日、顔を会わせることができますからね」


「まあ、そうですね、家を買ってもらったから迷惑とか言えないな」

「リンデ・・・リンデはいいの?ここで?」


「私はセイちゃんといられたら、どこでもいいよ」


「だそうなんで、じゃ〜ここに住まわせてもらいます」


「セイちゃん、早速家の中、見せてもらおうよ」


俺たちは、まるで新婚さんが、どこかのマイホームの展示会でも見に来てるみたいだった。

な訳で、家の中を見て回ったわけで、玄関から入るとまず正面に二階へ続く

階段が続いてるんだ。


その両サイドには部屋がふたつあるみたい。

広いキッチンに、ダイニング、洋風の広めのリビング。

70インチのテレビに、いくらするのか分からないような豪華なソファ。

リンデトエッチしたら沈んでしまいそう。

すでにちゃんと家具調度品も揃っていた。


二階の一部屋は客が泊まれる部屋になっていて、もう一部屋は俺たちの寝室。

ベッドだってダブルだし・・・こんな広い部屋にリンデとふたりで過ごすのかと、

いろんなことを想像してしまって、あまりの変化に気持ちがついていかなかった。


でも、まあ気分的には今より解放的な環境のほうがいいわけで

リンデにはあの狭い部屋より、このお城みたいなリッチな家のほうが

似合ってると思った。

お城って雰囲気、女神様にはぴったりな気がした。


「いかがですか?」

「気に入っていただけました?」


「気に入るも何も、こんなに恵まれてバチが当たるんじゃないか?」


「バチどころか宝くじ買えば、当たるかもしれませんよ」


「あはは、ルートガルザ、もしかして宝くじの当たり番号まで

分かったりして・・・」


「分かりますよ」

「少しだけ未来へ飛べばいいだけのことですから」


「おえ・・・そんなこともできちゃうんだ」

「こうなるともう、何でもありだな・・・」


「早くこの家でラブラブしたいね、セイちゃん」


「ベッドデカいよ、リンデ。

「どれだけ激しくても、もうベッドから落ちないから安心だよ」


前はたまに無我夢中になっててベッドから落ちそうになってたからな・・・。

これはルートガルザに足を向けて寝られないなって思った。


「ま、できるだけ早めに向こうは引き払って引っ越してきてくださいね」


「では、私は自分の家に帰りますからね・・・」

「お好きなだけイチャイチャラブラブなさっててください」

「あ、余計なことを、くちばしるとまたリンデ様に叱られますね」


「ルートガルザ、いろいろありがとう」


「いいえ、喜んでいただけたら、私も嬉しいですから、リンデ様」


そう言うとルートガルザは俺たちを残して家を出て行った。


「リンデ・・・なんかすごいことになったね」


「いいんじゃないの・・・もしルートガルザの申し出を断って機嫌をそこねたら、

そっちのほうが面倒だからね」

「案外あの人、気難しがりやさんで気まぐれだから・・・」

「彼の好きにさせておけばいいんだよ」


そう言いながらリンデは嬉しそうに部屋の中を見て回った。


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る