第25話:ドワーフの指輪。

一週間後、ルートガルザが言ったとおり、土地家屋の物件の話を持って彼が

やってきた。


「いい物件を見つけましたよ」

「郊外ですけどね、見晴らしのいい物件がありましてね」

「中古ではありますが、築5年なのでまだ綺麗ですよ」


「あの〜その家と土地のお金、、、俺払えませんよ」


「そんなものはご無用・・・・ご心配めさるな」

「私がすべて手配しましたから」


「ルートガルザさん・・・向こうの人なのに、こっちのこと詳しいんですね?」


「私、魔法使いですからね・・・」


「魔法使いだから、なんでも知ってるってことにはならないと思うんだけど」


「あまり深く掘り下げるのはやめましょう」

「いいではないですか、家が手に入ったんですから」

「すぐにでも、引っ越せますよ」

「このような狭くて汚い部屋は早くおさらばしたほうがいいでしょう」


「ルートガルザ、いろいろありがとう」


俺はとりあえずルートガルザにお礼を言った。


「いえいえ、どういたしまして」

「私の家を探すついでですから・・・」

「あ、ちなみに私の家、新しいセイ様の家の隣ですから」


「となり?・・・」


「近い方が何かと便利でしょ」

「とりあえず、家を確保しておいたら、向こうから知り合いや友人を呼べます

からね」


「うそ〜、え?向こうから、誰か来るんですか?」


「たとえばですよ・・・」

「にぎやかな方がいいでしょ」


「そりゃそうですど・・・」


にぎやかじゃなくていいわ・・・俺はリンデと静かに暮らしたいんだけど・・・。


なんだか俺の知らない間にすごいことになってきてるわけで

だいたいどんな家か知らないけど、固定資産税とかそういうのどうすんだよ。

そういうのもルートガルザが払ってくれるのか?

買っといてあとは知りませんてな具合になるなよ。


「さっそくですから、今から家を見に行きましょう」

「はい、これ・・・セイ様用の指輪です」


「え?指輪って?」


「家を見に行くのに電車や歩きで行くおつもりですか?」

「その指輪ベラルングナイトはリンデ様が持ってる指輪アンドヴェラナイトと

ツインになってるんですよ」

「ドワーフはそう言う指輪を五つ作ったんです」

「そのうちのふたつですよ」

「その指輪を使えば瞬時に新しい家に飛べますから・・・」


「その指輪は、しばらくお貸ししますから自由にお使いください」


さて、新居の場所が分からないでしょうから、指輪をはめて私にくっついてれば

大丈夫です。


そういうわけで俺とリンデはルートガルザにくっついて新しい家に向かって飛んだ。


目の前が急に暗闇の中に入ったみたいに真っ黒になったと思ったら、

気がついたら見たことない場所に来てたんだ。

見渡すと俺たちは小高い丘の上に立っていた。


「セイ様、リンデ様、目の前に2軒家がありますが、左の家が、おふたりの

新居です」


そう言われて俺は家を見たんだ。

びっくりしたね。


「なにこれ・・・」


つづく。

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