第22話:新しいお住いのご希望の場所など?。

「あのさ、理想的に言ったら俺だって広めの家に引っ越したいよ」

「でも、そういうリッチなところは家賃が高くてね・・・とても住めないね」

「社会人になったら考えてもいいけど・・・」


「では、私が代わりに土地家屋まとめて購入しましょう」


「購入しましょうって・・・そんなことできるんですか?」


「お任せあれ・・・一週間ほどお待ち下されば私が全部、段取りをつけて

きますから」

「不動産会社に行ってほどよい物件を探してくればよろしいんでしょ」

「お金や契約のことなら、すべて私にお任せを・・・」


「なんで、そこまで・・・」


「私はね、人の世話をすることに至福の喜びを感じるんですよ」

「誰かの喜ぶ顔を見ると言うのはすばらしいことではありませんか・・・」

「人の基本ってそういう、ところにあるんじゃないでしょうかね?」


「いいのかな・・・お言葉に甘えて・・・リンデ?」


「ルートガルザは魔法使いの中でも優秀だからね、任せておいて大丈夫と思うよ」

「いいようにしてくれるから」


「では、私はこれで失礼します」

「一週間後、よい話を、お持ちしてまたお邪魔しますので・・・」


そう言ってルートガルザはどこへともなく去っていった。


「変わった人だね」


「彼は若いけど、最高最強の魔法使いだからね」

「それにさっきの話のようなことは得意中の得意だし・・・」

「彼は、あなどれないんだよ」

「普段は穏やかで優しそうなイメージだけど、いざとなれば半端なく強いから」

「たぶん私が、全パワ〜集中して向かって行っても彼には敵わないと思うよ・・・」


「え〜そんなに強いんだ」


「上には上がいるんだよ」


「ルートガルザとリンデって・・・その幼馴染って言ったけど・・」

「その付き合ってたとか、元彼だったとか、そういうんじゃないの?」


「違うよ・・・私が?ルートガルザと?」

「ありえないからね・・・」

「人にはそれぞれタイプや相性ってあるんだよ、セイちゃんだって女性なら

誰でもいいってことはないでしょ?」


「それは、まあそうだけど・・・」


「それより・・・帰ってきたんだよ、私」

「セイちゃんとまた会えて嬉しい」


「俺だって、超嬉しいよ・・・叫びたいくらい」


「おいで・・・リンデ」


そう言って俺はリンデの手を引いてベッドへいざなった。


「ね・・・いいだろ?」


「え?・・・今からするの?」


「いや?」


「帰ってきたばかりだよ?」


「でも、夜まで待てないよ・・・」


「困った人ね、少しはゆっくりさせてよね」

「夜まで待って・・・ね?」


この喜びと嬉しさは気持ちだけじゃ治らないよね。

だからリンデを求めてもいいって思ったんだ。

でも俺は自分の欲求だけ満たそうとしてリンデの気持ちは無視してた。

そういう身勝手はいけないよね。


「ごめんね、リンデは帰ってきたばかりで疲れてるのに俺って・・・」


「う〜〜ん・・・いいよ、私を求めてくれて言ったことだから嬉しい」

「まあ、久しぶりだもんね」


「俺、我慢できないけど頑張って我慢するから・・・」

「エッチは夜までお預けだけど・・・でも今はずっとこうしてたい」


俺はまたリンデを抱きしめた。


「あ〜この温もり・・・リンデの匂いだ・・・「


そして可愛い唇にキスした。


「あの〜・・・新しいお住いのご希望の場所などありましたら?」


ルートガルザがいきなりドアを開けて入ってきた。


「わお・・・いきなりだな・・・」

「あの・・・それは、適当にルートガルザさんにお任せします」

「今、取り込み中なんで・・・すいません」


「あ、お邪魔だったようですね・・・これは失礼」

「どうぞ、続きをなさってください」

「おふりとも今夜は燃えそうですね〜ぬふふ・・・」


ルートガルザはそう言ってニタニタ笑った。


「いやらしい言い方・・・」

「ルートガルザは余計なこと言わなくていいの」


「これは失礼、リンデ様」

「じゃ、さよなら・・・もう来ませんから・・・」

「ほんとに来ませんからね・・・お気の済むまでイチャイチャ、ラブラブ

なさってください」


「しつこいっ!!」


リンデが釘を刺した。


「お〜こわ〜・・・どうもお邪魔しました」


「入ってくる時は、ドアくらいノックしろよな」


「どっちみちセイちゃん、ルートガルザがいてもハグとキスしたでしょ?」

「見られたって恥ずかしいことじゃないからね」

「ルートガルザが言ったように、そういう行為を隠すほうがおかしいんだよ?」


俺は今のこの状況が夢や幻じゃないことを自分の頭に確認した。

ほんとにリンデが帰ってきてくれてよかったって心から思った。


もちろんその夜は、言うまでもなく・・・・。

リンデの温もりに抱かれて俺は生きたまま快感と言う天国へ導かれた。

そして彼女を抱きしめたまま幸せの眠りについた。


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る