第16話:無敵の乙女戦士。
リンデの手から光の玉が現れると、めちゃ早いスピードでダンボールに向かって
飛んで行った。
「パーン」ってすごい音がしたと思ったら積み重ねてあったダンボールが粉々に
砕け散った。
ダンボールのカケラも端切れも残らないくらいに粉砕されてチリになってしまった。
わ〜いろいろできるって聞いてたけど、俺の彼女半端ないくらい、すげえな。
実際に目の当たりにするとチビりそうなくらいの迫力だわ。
「リンデちゃんて・・・ほんとに女神様なんだね・・・」
絵里子がビビりながら俺に言った。
「今ごろ、何言ってるんだよ・・・ちゃんと説明してやったろ」
「信じてなかったのかよ・・・」
「うん・・・」
「あのな・・・まあいいわ・・・」
「これで分かったろ・・・真実は小説より奇なりなんだよ」
「なんだこの女」
「おいヤバいぜ・・・今の見たろ」
メインでしゃべってた胡散臭い男の後ろにいた男が言った。
「今の、ダンボール?・・・みたいになりたくなかったら、おとなしく引き上げ
なさい」
「それから今後二度と、陽介さんには手を出さないこと」
「ちゃんと誓うなら、今回だけは許してあげます」
「あにき、ヤバイぜ・・・俺はダンボールみたいになりたくないから逃げるわ」
そう言うとその男は女と他の四人を引き連れて倉庫から一目散に逃げていった。
「残ったのはあなただけですよ」
「おまえ、なんだよ、誰だよ・・・」
「あら、教えてあげたじゃないですか?」
「それに私は死者の魂を天国にでも地獄にでも送れるんですよ」
「あなたの魂を地獄に送ってあげましょうか?」
「あ〜分かった・・・悪かった・・・あんたの言ったとおりにするから・・・
見逃してくれ」
「陽介さんに手を出さないって誓いますか?」
「誓う、誓う・・・二度と手は出さねえ」
「それから、金輪際、私たちの前には現れないこと」
「それが守れるなら、行っていいわ」
「こんなことばかりやってたら、いつか身を滅ぼしますよ、真っ当に生きなさい」
胡散くさい男はヘコヘコしながら倉庫の勝手口から逃げていった。
「あの〜ありがとうございました」
「もう大丈夫ですよ・・・陽介さん」
「リンデさんって・・・ほんとにセイちゃんの彼女さんなんですか?」
「そうですよ・・・間違いなくね・・・女神はね一度交わった男性とは
一生離れることはないんですよ」
「まじで?、俺、そんなこと聞いてないけど・・・」
「セイちゃんが私といるのが嫌なら無理にとは言わないよ」
「私は、ずっとセイちゃんといたいけどね・・・」
「いやいや、俺だって一生リンデといたいよ」
「あの〜・・・こんなところでラブシーンはやめて私たちも早く帰ろうよ」
絵里子はそう言って先に倉庫から出ていった。
「あのさ、リンデ・・・さっきの男に言ってた、魂を地獄に送るって・・・」
「そんなこともできるの?」
「さっきのは、ハッタリだよ・・・そんなことはできないよ」
「そう言えば、相手もひるむでしょ」
「私はあくまで魂をヴァルハラ送る乙女戦士・・・癒しの女神だから・・・」
こんなことでリンデのほんとの姿を見るとは思わなかった。
なんとなく、俺は今回のことでより一層リンデへの思いが強くなった気がした。
どんなやつが現れたってリンデは無敵の乙女戦士だ。
つづく。
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