第9話:クチビルにキス。

ある日、学校が休みの時、めちゃ朝早くリンデに起こされた。

スマホの電源を入れたら、まだ朝の4時じゃないかよ。


「うそだろ・・・もうちょっと寝かせてくれよ」


「早起きは三文の得だよ」


「そんな古めかしい死後、どこで覚えてきたんだよ」

「俺だって今まで早起きもしたことあるけど、寝不足になるだけで、

いいことも得したこともなかったぞ・・・」


「だって・・・ひとりだけ起きてても、退屈なんだもん」


「女神様だろ?」

「退屈なんて言っちゃいけないんじゃないか?」


「セイちゃんは女神って言葉に捕らわれすぎてるんだよ」

「私のこと過大評価しすぎ・・・」


「だってさ、あんな防具っていうの?戦闘服っていうの?」

「あれ着てるリンデを見たら、そりゃもう凛々しすぎて後光が差して見えるよ」

「なんか向こうの世界で、さぞかし活躍してたんだろうなって思うじゃん」


「戦場でさ、男に混じって勇敢に戦ってたんだろ?」

「黄昏に染まる草原にたたずむカッコいいリンデが見えるもん・・・」

「そんな姿見たら、もうなんでも言うこと聞いちゃいそうだよ」

「頼まれたらなんでもやっちゃうけどね」


「あはは・・・想像力豊か。」

「でも、いいとこイッてるよ」

「私の言うことなんでも聞いちゃうんなら、起きて・・・」


「え〜〜〜お願いだかから、休みの時くらいもう少し寝かせて・・・」

「せめて、あと一時間」


「ダ〜メ・・・起きろ」


リンデはそう言うと、俺のほっぺたにキスした。


「ま、そういういいことなら、話は変わってくるけど・・・」


で、俺は試しに、自分の唇をおそるおそる指差してみた・・・ダメ元で・・・。

そしたら・・・リンデが俺の唇にチュってした。

ぱっちり目が覚めるよな、そんなことされたら。


「あのさ、いくら俺の彼女になってくれたからって無理しなくていいからね」


「無理なんかしてない・・・」

「私がしたいって思ったからキスしたの」

「それに私、いやいやセイちゃんの彼女になったわけじゃないからね」


「私、セイちゃんのこと大好きだよ」

「恋人になったらハグとチューしてほしかったんでしょ?」


「なんかさ・・・・俺、毎日がさらに楽しくなりそうな気がする・・・」


俺にとって早起きは、三文どころか何百両もの得があったわけだ。

それなら、今日はせっかくの休みだしデートでもしようかな・・・って

思ってたんだ。


その帰りにファミレスで晩御飯食って・・・でもってラブホなんか・・・

でも、そんなところにリンデを連れ込んだら、めちゃ軽蔑されそうだな・・・。

下手したら彼女解消なんてことになったら、元も子もないし・・・。

彼女のおっけ〜ももらってないのに、そういう不謹慎なことやめとこう。

とりあえずラブホ抜きのデートだな。


ところが、そういうルンルン気分な時に限って邪魔が入ったりする・・・。


その日の昼ごろ・・・あいつが俺のアパートに訪ねてきたんだ。

ノックもしないで、まるで自分ちみたいに入ってきた。


「セイちゃん・・・いる?」


その声は?・・・・絵里子?・・・。


「俺はたまたまトイレに入ってたので絵里子に対応したのはリンデだった。


「どなたでしょう?」


部屋から出てきた女が金髪の外人だったので絵里子は一瞬、とまどって

いたみたいだ。


「あ、あんたこそ誰?」


俺がトイレから出るなり、俺を見た絵里子が言った。


「セイちゃん・・誰?この子・・・」


つづく。


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