第6話:タメグチって?。

「ごめんなさい」


「いいよ・・・その写真は処分するから」


「ダメですよ・・・たとえ別れた彼女さんでも写真を処分するなんてダメです」

「それだってセイちゃんの大切な思い出でしょ?」


「まあそうだけど・・・」


「この思い出は置いといてあげてください・・・その代わり今日から私が

セイちゃんの彼女ですから」


「あのさ、君・・・彼女になるって意味、分かってる?」


「お友達でしょ」


「たしかにそうだけど、友達以上・・・特別な関係になるんだよ」

「友達関係ならフリーだけど彼女ってことになると束縛することだって

あるし、その・・・つまり・・・気持ちだけの関係じゃなくさ・・・」

「ハグしたりチューしたり・・・それから・・・なんて言うの・・・」

「たとえば・・・」


「たとえばセックスですか?」


「お〜っと・・・大胆な発言・・・そんなこと、なんのためらいもなく言うんだ」


「別に隠したりするようなことではないと思いますけど・・・」


「最近の子は、オープンだね・・・男のほうがタジタジだわ」

「まあ、そういうことだから・・・分かってる?」


「分かってますよ・・ハグしたりチューしたりして欲しんでしょ」

「それにセックスも・・・」


「そこまではっきり分かってるなら、何も言うことないから・・・」

「リンデが俺の彼女って、夢みたいだし願ってもないことだから嬉しいけど

俺の彼女なら、これからはタメグチでいいからね」


「タメグチって?」


「つまり〜・・・丁寧にしゃべらなくていいってこと」

「長年、付き合ってる友人同士みたいに、もっとフランクにしゃべって

くれたらいいから・・・」


「私は女神ですよ・・・馴れ馴れしく話すことに慣れてません」

「このままじゃいけませんか?」


「・・・まあいいけど・・・強制はしないから、好きにして」


「女神ってめんどくさい制約があるんだね」


「めんどくさいって何です?」


「ごめん・・・別に嫌味で行ったわけじゃないからね」


「分かりました・・・タメグチ?で話せるよう努力します」


「努力までしなくていいけど・・・」

「丁寧にしゃべられると他人行儀な気がして・・・彼女なんだし」


「じゃ〜今から切り替えます・・・じゃなくて切り替える」


「あ、無理しなくていいからね・・・」


「それはそうと、彼女になってくれたばっかなのに答えによっちゃ彼女

解消してもらわないといけないんだけど・・・」


「なんでしょう?・・・あ、なに?」


つづく。


「あのさ・・・君って独身?」


「あ〜そのこと・・・独身ですよ・・・あ、独身だよ、そんなこと気にしてたの?」


「あの・・・付き合ってる彼氏とか旦那さんとかいなかったのかな?」


「いないよ・・・いつも戦場にいましたから、それどころじゃなかったし・・・」


「そうなんだ・・・それ聞いて安心した」


「もし君が既婚者だったら俺の彼女ってマズいでしょ」


「セイちゃんって真面目なんです・・・なんだね」


「でも、私がもし結婚してたらセイちゃんの彼氏にはなってないと思うけど」


「そりゃそうだよな・・・俺ってめちゃ当たり前なこと聞いてる?君に・・・」


「そんなことないよ・・・私が独身かどうか・・・気になってあたりまえだよ」


「正直言っていい?」


「なに?」


「俺・・・リンデに向こうの世界に帰って欲しくないって思ってる・・・」

「ごめんよ・・・勝手なこと言って・・・でもそれが俺の正直な気持ちなんだ」


「それだけ、私にここにいて欲しいって思いが強いってことでしょ?」

「求められてるって嬉しいことですよ・・・私はそう思ってもらえて嬉しいです」

「それに私、向こうに帰っても天涯孤独ですから・・・家族もいないですし」

「だから、ずっとこっちの世界にいてもいいですよ」


「ほんとに?」


「ほんとです・・・」


「あのさ、普通に丁寧語にもどってるけど・・・」


つづく。


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