第三十一話 収納魔法
それから暫くはギルドの依頼を受けつつ日々収納魔法の「出す」を練習した。
その他にもホークアイやメンタルスタビリティなんかも練習した。
とある日の事、俺達はダンジョン攻略をしていたが、もはや連携の取れた俺達の敵は居なかった。
そして開けた場所でいつもの様に収納魔法練習をしていると突然成功し、ベッドが出てきた。
「で、出た…」
「お、お前こんな狭い所でいきなり出すんじゃねえよ早く仕舞えよー!」
「そ、そんな事言ったってー」
「おめでとうシリウス。今度は仕舞ってみましょう」
「う、うん…」
しかし仕舞えなかった。
一生懸命収納しようとしたが上手くいかない。
「これ仕舞うまで動けないってオチか?」
「じゃあ捨ててけよ」
「そ、そんなぁ!それはなんか…勿体無いっていうか…」
「じゃあ早く仕舞えよー」
するとあっさり収納出来た。
練習の為、もう一度出し入れしようとしたがダビーに断固反対された。
このダンジョンはとても広く今回は日数の都合上途中で引き返した。
街に戻りギルドへ調査報告を済ませるとブルーオイスターで食事した。
〜ブルーオイスター〜
「あら〜チョットやってみて頂戴よ〜」
「ええ、こんな所で出したら迷惑ですよー」
「良いわよ〜早くやって見せて頂戴な」
そう言ってベッドを出してみた。
出た!
「あら〜本当に出たわね〜何だか興奮するわね〜ベッド〜」
「お、おいシリウス早く仕舞えってんだよ!」
そう言ってベッドを仕舞った。
もう普通に出来る様だ。結構時間がかかっちゃけどこれで2つ目の魔法を覚えた。このペースでは先が思いやられる…
その日は家に帰り父上と母上に収納魔法が出来る事を披露しベッドをもとに戻した。
母上は喜んでいた。父上は自分も冒険者時代に使えてればと悔しがっていた。
次の目標として父上のスキルのコツを聞いた。
父上はメンタルスタビリティが楽だろうとしてコツを教えてくれた。
父上のメンタルスタビリティは冒険者時代に偶然発現したものらしい。なので練習とかはしなかったそうだ。
メンタルスタビリティは精神系操作や五感を騙す幻惑を看破する効果があるという。
そして感情をコントロール出来るので常に冷静で居られるというのが最大の利点らしい。
しかしデメリットもあり、それは恐怖心が無くなってしまうんだそうな。
恐怖心が無いと無謀になりやすく、慎重さに欠けた戦いになるので扱いには注意らしい。
俺はメンタルスタビリティを覚える事にした。
「そう言えば父上と母上は冒険者時代はランクどの位だったのですか?」
「SSランクだ。SSSに成る前に士官して結婚してしまったからなぁ」
「冒険者になると決めた日の夜、今思い出すだけでもロマンチックだったわ」
「まだ俺は今程強くもなかったな…あの夜は王宮で始めて受勲された日だったかな…」
「あの頃のパパったらカッコよかったのよ〜あの日に恋に落ちたのよね〜」
俺は何を聞かされているんだ…
けどやっぱり凄かったんだこの2人は…
「シリウスは今CランクだけどパーティーとしてはA相当で登録されてるのよね?」
「じゃあそろそろ暗い森へ行っても良いんじゃないか?」
「おじいちゃんとおばあちゃんと伯父さんにも会ってらっしゃいよ」
母上の父上と母上、つまり俺の祖父と祖母である。ドゥベ・フォーマルハウト辺境伯とシャウラ・フォーマルハウトである。
暗い森は国の南方で国境としても機能しているが、そもそも魔獣の巣窟でこの国では最難関の地域である。
魔獣を国に入れない事と国境警備を辺境伯として統治している。
翌日パーティーの皆と暗い森の話をした。
ダビーはいつもの様に用があると言って来なかった。
2人は乗り気でやる気満々だった。
早速ギルドの依頼で暗い森の魔獣討伐を受けた。対象魔獣は何でも良く、数に制限も無し。ただ野生動物の乱獲はタブーとの事だ。
狩れば狩る程報酬は上がっていくらしい。
出発当日、ギルドからフォーマルハウト領のギルドへの紹介状も貰った。フォーマルハウト領へは馬でも10日近くかかる。ダビーは俺の後ろへ乗った。
いよいよ出発だ。
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