第三十話 対魔族武器
ブルーオイスターを出た俺達は各々の目標を共有する事にした。
俺は収納魔法と父上が出来る無属性魔法は全て習得に挑戦する事に決めた。
コルは父上が使った土魔法金剛力とストーンスキン。そしてタンクになる事が多いため純粋な剣術と盾術のスキルを鍛錬することにした。
カラは大規模戦闘に備えた広範囲魔法とシールド魔法の強化、あと融合魔法を習得するそうだ。
ダビーは更なるスピードアップと隠密技術、土魔法を覚えるそうだ。
そして次に、俺達はダリムの店へ向かった。
(カランカランコロン〜)
「お〜シリウスか、大所帯でどうした」
「ダリムさん、ちょっと問題が…」
俺達は魔族と戦った事を話した。偶々持っていた聖銀のナイフでトドメを刺した事や、今後も戦う事になったらどうしたら良いかの相談も兼ねての事だ。
「魔族か…厄介な」
「魔族には聖銀のナイフしか効かないんですよね?」
「まあそう言われているな。だがそれは通説であって、間違っちゃいねえが半分間違いだ」
「どう言うことですか?」
「正しくは、聖銀以上の武器じゃねえと倒せねえ」
「聖銀以上…?」
「うむ、聖銀のナイフってのは本来儀式用だ。せいぜい対魔族の護身用程度なのさ。しかし銀は柔らかく武器の素材には向いてねえ。かと言って鉄じゃあ聖なる力を付与できねえ」
「聖なる力って何ですか?」
「聖なる力ってのは光属性だったり神殿や教会で清められた水、つまり聖水だな。その聖銀のナイフは元は単なる銀のナイフだ。それを聖水に漬けて三日三晩月光を浴びさせて作ると言われている」
「じゃあ武器として使える金属では魔族に対抗する金属は無いんですか?」
「あるにはある…ミスリルやオリハルコンと言われている鉱石がそれじゃな」
「おいおいそんな鉱石大量に手に入らねえんじゃねえのか」
「オリハルコンは疎かミスリルだって希少だ。俺達の分を作れたとしても普及させるほどには無理だろう」
「結局一般兵士にも携行させる事は出来ないか」
「確かに非現実的な話じゃな。だがお前さん達が言う魔族だって非現実的じゃぞ」
「………」
「取り敢えず、心配なら当面は聖銀のナイフを各々持っておくんじゃな」
「本当に魔族に有効なのはそれだけなんでしょうか?」
「それはワシの専門外じゃ。餅は餅屋じゃよ」
俺達はダリムの店を後にし、マイアの魔道具店に向かった。
(カランカランコロン〜)
「いらっしゃいませ~。あ〜シリウスさん〜」
「マイラさんどうも。ちょっと相談したいんですが…」
「はい〜?」
マイラさんにも今までの経緯を話した。
「大変でしたね〜でも買っておいて良かったですね〜」
「はい、正直無かったら危なかったです」
「因みにベテルギウスさまも昨日来て聖銀のナイフをお求めでしたよ〜」
「え、父上が?」
「はい〜、シリウスさんに売っちゃったと言いましたら笑ってましたよ〜」
「あはははは…」
「でも魔族に対する有効手段ですかぁ〜。聖水をそのままかけちゃうとかですかね〜?」
「武器としてはなにか無いのかな?」
「銀やミスリルじゃなくても光魔法を剣にエンチャントするなら鉄でも付与できますかね〜」
「本当ですか!?」
「はい、ただエンチャントなんで術者だけしか使えないですね〜術者以外の人に付与しても持ち手が違うと魔力供給が途絶えますから」
「じゃ、じゃあエンチャントグローブとかの魔道具を装備しても駄目ですか!?」
「エンチャントグローブでもできないと思います〜武器付与魔法は中級までしか存在ぜず上級魔法はありませんから〜」
「限られた人だけか…」
「おいおい八方塞がりじゃねえか」
「困ったわね、代替できる物が無いなんて」
「アイデアが欲しいならラーン所長に相談してみたらどうでしょう〜?」
「そうだラーンさんの所に行ってみよう!」
そしてアドバイス通り今度はラーンさんに会いに行った。
〜王立魔道具研究所〜
「ふむ、成る程ですねぇ…今スグには無理ですが…」
「そうですか…」
「先ずは魔族の伝奇や書籍などで良いから探って見るところから始めてのみるのが良いでしょう」
「何か有効な手段をこちらも探ってみます…」
「そうですね。先ずは情報収集して敵のことを良く知るべきですね」
結局有効な手段を得ることが出来ずにその日は終わった。
家に帰り収納魔法の練習をしながら結局寝てしまった。
翌朝の出来事だった。何故か俺は床で寝ていて周りを見渡すとベッドが無い!
掛け布団と枕だけでベットが無くなっていた。
慌てて母上にその事を伝えたが知らないと言う。
良くわからないが母上に謝ってギルドへ向かった。コル達に話すと収納魔法が発動したのでは?っと言われハッとした。
「確かにここ数ヶ月暇があれば練習していたが、こんな事って有るの?」
「あり得ない話じゃないわよ?洗礼を受けていない小さな子が寝てる時に火魔法を発動してベッド燃やすとか稀に有るらしいし」
ナニソレコワイ…
「でもしっかり習得したものはまず滅多暴走しないから大丈夫よ」
「じゃあもし俺が本当にベッドを収納しちゃったなら出せるハズだよね?」
「出来ると思うわ」
それから俺は収納魔法で「出す」練習を始めた。
まさかこんな事になるとは……
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