第20話 ダンジョンとPT戦1




パーティーを結成した翌日、ギルドに集合した俺達だったが1日だけ所用があると言いダビーは明日からの参加となった。

その間カラさんから収納魔法の訓練を受ける事になった。収納魔法の習得は非常に困難だというが、冒険者なら一度は試そうとしたくなる魔法らしい。俺はフィジカルブーストの件もあり寝転びながら訓練する事にした。


「先ずリラックスして魔力を全身に感じて。出来たら収納をしたい場所に集中するの。掌とかがやりやすいかも知れないわ」


フィジカルブーストより魔力を集める場所が限定されるから思ったより困難じゃないかも…と思っていたが。


「次に掌に空気が吸い込まれていく感じをイメージして頂戴。イメージが難しいなら掌に石ころを乗せたりすると楽になるかも」


その日は1日中収納魔法の訓練をした。

困難だと言われているだけあって全くコツを掴めない。掴み所のない魔法だった。


家に帰り寝るまでの間ベッドでも訓練した。

気づけば寝ていた。

いよいよ今日からパーティーとして活動する。

ギルドに向かうと3人とも既に来ていた。


「今日からダンジョンに行こうと思う」


ダンジョンとは、各地に有る洞窟や遺跡等である。大型魔獣や魔物の巣がそのままダンジョンになる事も有れば突然発生したり、元々有ったものが発見されるケースも有るという。


「そこでだ、ここから北にある星詠の森の近くに最近新しいダンジョンが発見されたらしい。ギルドの調査依頼で引き受けようと思う」


「調査依頼の達成条件は何になるんですか?」


「魔物の種類や倒した素材とマッピングだ。魔物や魔獣は野生動物と違って魔石を落とすからそれでも報告になる」


成る程、荷車必要かなぁ?


「素材なんかは私が収納するわ。信用出来なければダビーが数を数えていれば良いわ」


「そこまでケチじゃねえよ。それよりとっとと依頼受けて行こうぜ」


そうしていよいよ出発する事になった。

途中野生動物を狩って食料を確保したりしてダンジョンを目指した。


「なあ、このパーティーのリーダーってコルで良いんだよな?」


「特に決めてなかったけど俺もコルさんが一番だと思う」


「いや俺はそんなつもりは無いんだけどな」


「じゃあなにか?俺がリーダーやってもいいいのか?まあそういうタマじゃねえけど」



満場一致でコルさんが適任だろうということで決まった。


そうして進み続けあっという間に日暮れになった。

今日は野営する事になり狩った獲物で夕飯を作り食べた。


「やっぱカラさんの収納便利ですね」


「でも収納量は人によって限界があるからあまり無駄遣いは出来ないわ」


「カラさんはどれ位許容出来るんですか?」


「1部屋分ってとこかしらね。あと生き物は入れられないわ。死んでれば入るけど」


「でも十分ですよね。こんなに身軽に移動できるのはカラさんのお陰です」


他愛もない会話の後、親睦を深める為に仲間の疑問を聞いたりした。


「シリウスの槍でまだ鞘を抜いた所を見たこと無いけど何か有るのか?」


「実は封印してるんです」


事の経緯を話した。


「お前、実は凄い英才教育をされて来てるんじゃねえのか?」


「それは俺も最初から思ったな。まだ12歳だとは思えない強さだし、本気でやり合ったら俺でも勝てなそうだ」


加護や父上や王宮の事はまだ伏せておこう…


「それより俺、龍族って聞いて驚きました。始めて見たので」


「確かにこの国では珍しいかも。でも他の国だと結構ポピュラーなのよ?」


「まあベネトナシュは奴隷を禁止してるからな」


奴隷!?


「龍族は獣人族と一緒で使役労働者として使い勝手が良いのよ」


「でもそんなの酷いじゃないですか奴隷だなんて!」


「シリウスは優しいのね」


「落ち着けシリウス。お前はまだ外を知らないから無理もねえが、それが一般的だ」


「ダビー言うとおりだ。最近では奴隷制度に各国が厳しくなって余りひどい扱いはされなくなったが、その奴隷で経済が回ってる国だって有るんだぜ」


知らなかった…そんな酷いことが世の中で行われているなんて。


「世の中善人ばかりじゃ成り立たねえんだ」


「…………」



「そうだダンジョンの行動と戦闘の動きだけ確認しておこう」


「どんなダンジョンかはまだ殆ど調査が入って無くて分からねえんだろ?」


「そうだ。だから簡単な作戦で行く。まず探索は先頭はダビー。次に俺、カラ、シリウスだ。シリウスは後ろを警戒して進んでくれ」


「分かった」


「戦闘になったらパーティー戦に慣れていないシリウスは兎に角全力で暴れろ。俺達がフォローするダビーとカラもそれでいいな?」


「了解」


「あと撤退の号令は絶対だ。いいな」


そして夜が更け、朝になった。



「よし行くか!」



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