アオハル期
第17話 門出1
〜星霊暦2681年3月某日〜
「シリウス〜お寝坊さんを起こしてきて〜」
「はい母上」
「おいプロキオン起きろ。おい起きろったら」
「う〜ん、兄上…朝ですか?」
「朝ですかじゃないだろう。スピカが迎えに来てるぞ」
「えぇ!スピカが!?」
「今日合格発表の…」「あああそうだった!」
飛び起きたプロキオンは慌てて身支度を始めた。
俺は12歳プロキオンも10歳になった。
今日はプロキオンとスピカの王立学園入学試験の合格発表だ。
「全く、本を片付けずに…又夜更かししたな」
下に降りるとスピカが待っていた。
「ごめんなさいね〜スピカちゃん」
「いえ〜、早めに出て来てますから〜」
「おはようスピカ」「お、おはようスピカ」
「おはようシリウス、プロキオン」
「忘れ物は無い?受験票持った?ほら〜寝癖が付いてる〜」
しっかり者のスピカは母親の様だ。
「では母上行ってきます」
「行ってらっしゃい。スピカちゃんに迷惑かけちゃだめよ。スピカちゃんも行ってらっしゃい」
「カペラさん行ってきます〜」
そう言うと二人共馬に乗り颯爽と学園に向かった。
「シリウス。貴方も今日でしょ?」
そう、遂に冒険者登録の日がやってきたのだ。
「冒険者は粗暴の悪い人も多いから気をつけてね。無理しちゃ駄目よ」
「はい母上。俺もそろそろ行きます」
そう言って徒歩で冒険者ギルドに向かう。
厩が無いので不便だ。
遂に冒険者ギルドの前まで来てしまった…
胸の高鳴りと伴に中へ入った。
店内は多くの冒険者で賑わっていた。
街ではあまり見かけない種族も居る。宛ら根城って感じだ。
リザードマンに獣人族に、エルフも居る。
「おい坊主、ココはガキの遊び場じゃねえんだ。出ていきな」
き、キター!
何か来たー!
し、しかしここで気後れしては駄目だ。
「冒険者登録に来たんだ。退いてもらおう」
「何ぃ、こんガキャー!」
アレ、怒らせてしまった。
「おい貴様ら!何している。よもや公共の場で狼藉を働こうなどと考えては居るまいな」
「げっ!し、白薔薇!!」
「どうなのだ!答えよ。事によっては牢に放り込んでも良いのだぞ?」
「め、滅相もない。勘弁して下だせぇ…へっへっへ。坊主…悪かったな…」
助かったー!
「災難だったなシリウス」
「有難う御座います。お陰で助かりました。でも何でギルドに?」
「ベテルギウスから今日お前がギルド登録すると聞いていてな。巡回の序でに寄ってみたのだ」
「そうだったのですか。けどエライタイミングが良くて助かりました」
「け、けして待ち伏せて居た訳では無いぞ!」
待ち伏せてたか…
「悪い虫が付かないように登録するまで立ち会ってやろう」
「何だか悪いですよ」
「気にするな。さあ早く受付へ」
結局保護者の様に付き添ってくれた。
「あの、冒険者登録をしたいのですが」
「ようこそ冒険者ギルドへ。こちらに必要事項を記入して下さい。初回登録は大銀貨1枚頂きます」
名前、年齢、出身地…職業?
「あの、職業って何ですか?」
「職業はジョブとも言って、得意な戦闘スタイルで判断します」
戦闘スタイル…
「シリウスは槍使いだから前衛戦士だろうなぁ」
「成る程。じゃあプロキオンとかは後衛魔道士?」
「プロキオンは棒術が使えるし前衛を回復する事も有るから中衛魔道士だろうな。スピカは弓と魔法だから後衛魔道士だな」
何だか色々有るんだなぁ…
「あまり難しく考えずに記入して頂いて構いませんよ」
とりあえず、戦士でいいか。
一通り記入し提出するとプレートを渡されてた。
軽く魔力を込めるよう言われた。そしてギルドの水晶板にも同じよう魔力を込めた。
「これで登録が完了しました。そのプレートは身分証になるので無くさないように首から下げる等して大切に所持して下さい」
ここからギルドの説明を色々受けた。
冒険者にはSSS〜Gまでのランクが有って、最初はGランクからスタートする。依頼達成とギルドへの貢献度によってランクは上がっていくらしい。
受けられる依頼は自分のランクの1個上まで。
例外として指名依頼はランク関係無しで受けられる。
あと、不正行為や迷惑をかけたりすると降格や罰金等色々ペナルティが有る。
その他細々色々教えてもらった。
「色々有難う御座いました…えっと」
「申し遅れました。私は受付のタリタと申します。早速依頼を受けて行くならあちらの掲示板でどうぞ。また分からないことが有りましたらお気軽に聞いてください」
「はいタリタさん有難う御座います」
無事登録も終わりアケルナル様は満足そうに巡回へ戻って行った。
さて初仕事でも探すかな…えーっと…
薬草採集…荷物運び…家の片付け…
ナニコレオモッテタノトチガウ…
どれもつまらなそうだ。
討伐系はEランクからしか無い…
タリタさんに聞いてみるか…
「すみませんタリタさん、Gランクで討伐系の依頼って無いんですか?」
「無いですね〜、冒険者成りたての方は戦闘初心者さんばかりですし…それに無理な依頼はギルドの信頼にも関わるので出せないのです」
仕方ない…薬草採集にしようっと。
王都の外に出れるだけマシか…
父上と狩りで良く行く場所の辺りで始めた。
しかし薬草って意外と見つからないもんだな。っというより見分けがつかないぞ…
折角冒険者になったのに俺は何をしてるんだ。
昼近くになったので一旦戻ることにした。
「あらシリウスおかえりなさい。無事登録は出来たの?」
事の経緯を愚痴っぽく話してしまった。
「あらそう〜、残念ね。でも知識として一つ一つ熟すのが良いと思うわ。例えば、Aランクなのに薬草の事も知らないって不自然じゃない?」
言い得て妙だ
「ちょっとプロキオンの本借りようっと。薬草がどんなだかも分からないし」
「以前座学でやったわよ?」
遂に座学を疎かにしたツケがきた…
「お、おさらいだよ。うん」
「そう、それは良い事ね。ふふ」
ちょっと怖かった…
そんなこんなでプロキオン達が帰ってきた。
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