第2話 ”アース=ウィリアムス”

 『この子の名前はアース、”アース=ウィリアムス”でいいんじゃない?』

 『そうだな。無事に産まれてよかった。』

 『じゃあ早速、我が家では・・・』

 『ノース、まだこの子は生まれたばかりなのですよ。説明するのは2歳になってからでもいいんじゃない?』

 『確かにだね。』

 『これからよろしくねアース。』


 とても明るい光が僕に当たり心地よい暖かさがあり、布団はしっとりした感じがありずっと寝たくなる。

 ただ、小鳥たちがまるで「起きなさい」と言っているかのように鳴いている。

 この音に僕も「流石に起きないとマズイ」と思い、陽の光が辛いかのように目を開けてみると神様と同じような服を着た少女がベットの横に立っていた。

 「アース様、おはようございます。4歳のお誕生日おめでとうございます!本日は、アース様や、ラーズ様にとって素晴らしい日となることでしょう。」

 彼女は前世では見たことないほどに可愛く、愛想のある笑顔をしていた。

 だが、なぜか僕は彼女の名前やこの家を知っている。

 正しいかわからないので一応この家について聞いたほうがいいかもしれない。

 「ユウカだったっけ?おはよう。今なんか記憶が混乱してて、ここがどこか説明してくれる?」

 そう彼女に聞くと、最初はびっくりした表情をしていたがすぐにニッコリと笑いゆっくり、丁寧に説明してくれた。

 「わかりました。では、アース様のために説明してまいります。ここはオーマニア大陸南西部に所属する王都エルオニアでございます。貴方様はウィリアムス家の第3王子の”アース=ウィリアムス”様でございます。

旦那様は”ラーズ=ウィリアムス”様で、奥様が”メアリー=ウィリアムス”様、第1兄様が”ノース=ウィリアムス”様、第2兄様が”アーノルド=ウィリアムス”、最後に私はメイドのユウカ=ヴァンパイスでございます。」

 やはり、ここは王都だということがわかった。

 しかし、なぜか僕はこのことを知っていた。神様が説明してくれたわけでもないのになぜ知っているのだろうか?

 「アース様?そんな難しい顔をされてどうされたのですか?どこかわからないところでもありましたか?」

 「ううん。大丈夫だよ。ただ、今結構眠くて。」

 「わかりました。ですが、そろそろ朝食の時間なのでご準備をしなければなりません。どういたしますか?」

 そうか、そろそろ朝食の時間になるのか。

 とりあえず、この世界についてはあとでユウカに聞くとして、今は身支度をしたほうがいいかもしれない。

 「わかった。じゃあ、支度をしようか。」

 そう言ったら彼女が着替えを持ってきて着替えさせてくれた。

 本当は自分でもできるが、この世界の上位身分では着替えさせてくれるのが普通なのかもしれない。


 「では、ごゆっくりしていってください。」

 部屋を出てわかったが、まさか1人1個の部屋が小さな城だったとは・・・。

 いくら王都とはいえ、普通王子1人1人に城をあげるということはないだろう。(僕が読んできた小説の中ではまずなかった。)

 「おはようございます。お父様、お母様、お兄様方。」

 扉を開けて見ると席にはもう全員ついていた。

 机にはパン、スープ、サラダなど色とりどりの料理があった。

 前世では基本的に朝は和食が多かったので個人的にはせめてでも米が欲しいと思った。

 席につくと父が協会で祈るような感じで、

 「ルーシア様、アーク様、デイズ様。本日も我らに生命をくださり感謝いたします。どうか本日も我々を導いてください。」

と言い、食べ始めた。

 これは日本で言う「いただきます」みたいなものだろう。

 しばらくして父が、

 「アース誕生日おめでとう。今年の誕生日プレゼントは何が欲しい?魔法書か、剣術の書か。または、その他などいろいろあるぞ。」

 魔法書と剣術の書、個人的にはどちらも欲しい。

 魔法の研究は楽しいだろうし、剣術も極めれば案外楽しいかもしれない。

 あとは、王族ではあるけど冒険者になりたいような気がしなくもない。

 「では父上、私は魔法書と剣術の書どちらも欲しいです。」

 そう言うと父はニッコリして

 「わかった。ではどちらも準備しておこう。あとは他に何かないか?」

 「では、私が冒険者ギルドに登録することをお許しください。」

 そう言うと父は急に顔をしかめて言った。

 「アースよ、冒険者になるのはまだ良いが立場はどうするつもりだ。第3王子だから問題ないかもしれないが、身分がバレれば何か問題になるかもしれない。」

 確かに王族という身分がある状態で登録すればいろいろな問題に発展しかねない。

 「では父上、身分を隠して登録すればよろしいのでは?」

 「アースよ、確かにそれはそうなんだが、どうやって隠すつもりだ?ギルドは登録する人の身分や性別、年齢まで調べてやっと許可するんだぞ。また、国から直接発行することも不可能だ。」

 そこら辺は考えていなかった。

 まさか、そこまで詳しく調べているとは。

 しょうがないから、ギルドはもう少し大きくなってから登録するしかないか。

 「わかりました。もう少し年が大きくなった頃にまた考えようと思います。」

 「わかった。だがそのかわりと言っても何だが、魔法教室や剣術教室への参加をしてみていいんじゃないか?」

 剣術教室や魔法教室への参加か。

 だったら、そこで技術を積み上げてできるだけ研究に費やすのも悪くはない。

 「わかりました。では喜んで参加させていただきます。」

 「では、魔法書などは明日、教室も明日から参加可能だから気をつけておいてくれ。」

 と言われたあとノース兄さんが、

 「アース、もしも魔法や剣術について知りたかったら俺達に聞けよ。一応ある程度のことは教えてやるからよ。」

 「ありがとうございます。ノースお兄様。機会があればお伺いします。」

 まさかの、ノース兄さんにこんなことを言われるとは。

 魔法については研究したいから今度しっかり聞きに行くしかないw

 そんなこんなで食事を終え、自分の城に戻る準備をした。


 帰る途中ユウカに

 「魔法ってどんな感じなの?」

 と聞いてみた。

 ユウカによると、魔法は火、水、土、木、風、闇、光、無属性の7種類が基本らしい。

 また、闇属性と無属性は未だに謎が多く使い手も少ない。

 そして闇、無属性以外は誰でも簡単に取得することができるそうだ。

 それもあって、5属性同時攻撃や火から炎属性へと応用を利かせるものもいるらしい。

 個人的には無属性や闇属性が欲しい。

 そんなことをやりながら自分の城に戻ってきた。

 魔法書や剣術の書、教室は明日から参加可能らしいので今日は普通にこちらの世界の小説でも読んで明日に備えるとしよう。

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