第31話 嗅覚極めし者




「この匂いを嗅いでいいのは私だけなんだから」


 俺の認識が甘かった。

 まさかここまでアイリスの嗅覚が鋭いとは。

 特殊な訓練も受けてないと言うのにどうしてこんなことになっているのだろうか。


「お嬢様はどうしてそんなに優れた嗅覚をお持ちなんですか?」


「え? そんなのどんなに離れてもルークを捕捉するために決まってるじゃない。最近は目で見えない距離でも匂いでならルークを認識できるようになったわ。褒めてルーク」


「偉いですね。お嬢様は」


 俺を補足することに関して武術の達人の域に達している。

 目に耳に頼らないと言う点で心の目を開眼した人みたいになってる。


 なんとかしてこの嗅覚を殺してグインと仲を深めるイベントを捻出しなければならない。


  ────


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