第30話 一人二役

  


「不審者発見ね。こんな生徒私は知りません。ルーク!」


 アイリスが危険を察知したために俺を呼び始めた。

 当たり前だがアイリスが助けを呼べばどれだけ離れていようが、どんな状況でも駆けつけなければならない。

 お嬢様の隣に瞬時に移動する。


「馳せ参じました。お嬢様」


「ああ、ルー来て。この人怖いわ」


「只今、お嬢様」


 そうするとヴィクトリアに呼ばれたので、魔法による身体強化を使って加速して高速着替えをしてヴィクトリアの横に膝を着く。


「この者」


「かなりの手練れのようです」


「念の為お逃げください」


「わかったわ」「うん」


 そして高速移動でそれぞれの残像を残しながら、戦っているフリをする。

 もはやこうなれば好感度アップイベントを継続するのは困難なので場を強制的に解散に持っていく。

 グインがここでアイリスを追いかければワンチャンなるかもしれないが、残念ながら「やばすぎだろ!」と言って脇目も振らずに逃げていた。

 それでも主人公かこいつは。







  ────


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