第12話 チャンス到来



 共和国の〈試作剣〉はこの世界では珍しく実弾仕様で遠距離攻撃ができる。

 強くはないがバズーカが強力で当たれば三分の二近く持ってかれるので注意が必要だ。

 王国と魔界に対して中立の態度を決め込んでいる共和国が両者を出し抜くために秘密裏に開発しているという設定なので王国と魔界が疲弊する中盤の最後まで出てこないはずだが。

 本来であればレーネが死んで予言が使えなくなったことで、王国が魔界に押され気味になるはずだったところ、レーネがピンピンして魔界と拮抗しているせいで、ヴィクトルの父である野心家の剣聖辺りが共和国にちょっかいでもかけて手に入れたというところだろうか。

 主人公にやってもらいたかったが、流石に初期の状態でパイロットがヴィクトルとは言え、中盤の最後のボスと戦わせるのは無謀すぎるな。

 フラグは勿体無いがこっちでこいつは対処するか。

 主人公が死んだら好感度もクソもないしな。


「俺がこの姿を晒すのは貴様らを皆殺しにするからだ。アイリス・ハート。お前から全てのものを奪うことで俺は誰かから必要とされる居場所を得られる」


 ヴィクトルは〈剣〉のハッチを開けると胸のチャックを下ろしたパイロットスーツ姿を晒した。

 ダイナマイトサイズの胸がまろび出そうになっている。

 何かを覚悟を見せつけているようだが、見るからにチャンスだ。

 糸を放って拘束するか。


「か、体が動かない……」


「お嬢様、刺客を拘束しました」


『よくやったわ! ルーク! さすがね!』


    ───


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