第11話 オリエンテーション開始



『諸君らにはこれから〈剣〉のオリエンテーションを行ってもらう。四人一グループでD級モンスターの一体を討伐し、〈剣〉の戦闘記録を提出したものから放課とする。簡単な物ではあるが後の〈魔剣〉と戦いにも繋がる有用な課題だ。投げやりな気持ちでやらぬ様に。では課題開始。散開』


〈剣〉担当教諭のエリナの挨拶が終わると、その場で仲のいいもの同士で集まっていた生徒たちがグループを作って、散っていく。

 悪役貴族のヴィクトルもストーリー通り、専用の〈剣〉──グロリアに乗って取り巻きたちとともに移動し始めた。


『そっちも二人か。ちょうどいいな。俺たちと組もうぜ』


 こっちもストーリー通りで男主人公と女主人公が、アイリスにグループを組むように誘ってきた。


『ええ、いいですよ。こちらも組まないといけないと思っていたところですから』


 申し出にアイリスがOKを出すと主人公たちとモンスター狩りに向かう。

 概ね全てストーリー通りに行っているので、あとはヴィクトルたちがちょっかいをかけるのを待つだけでいい。

 そうすれば、主人公がヴィクトルとブチギレ対立して、アイリスの好感度アップフラグとストーリーフラグが立つ。


 ──


『F級すらいないな』


 1時間ほど経ったがヴィクトルがちょっかいをかけるどころか、モンスター自体の姿が見えない。

 ゲームではD級と五分でエンカウントして、ヴィクトルが横取りしてくるのだが、異常事態だな。


『結構離れのとこまで来てるのにどうなってんのよ! もう!』


『来たか』


 女主人公が不満を爆発させると、崖上からヴィクトルの声が聞こえた。

 そちらを見上げるとストーリーの中盤で登場する共和国の〈試作剣〉の一体──シンズが立っているのが見えた。


    ───


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