第8話 わからせないと
ヴィクトルたちを退けたあと、アイリスの元に戻ると主人公たちと軽く挨拶しているのを目撃した。
人が捌けたのでとりあえず、注目を集めている人間に挨拶しようというところだろうか。
一気に親密度を高めるチャンスが来たな。
「お紅茶に御座います。御学友のお二人もどうぞ」
「あ、どうも。あなたは?」
「アイリス様の従者をしております。ルークです」
気を遣った体を取り繕いつつ、紅茶と茶菓子を配置して2人を拘束することに成功した。
挨拶だけで帰さんぞ。
イベント遭遇で親密度を上げる選択肢を選ぶことで発生するデートに漕ぎ着けるまでは返さん。
「ルークどこに行ってたの?」
「制服がほつれてしまったと言う御学友がいらっしゃたので修繕していました」
「ふーん」
「紅茶うめえ!」
「紅茶美味しいです! ルークさん! 服の修繕もできるなんてなんでもできるんですね!」
俺が留守の事情を話すと男主人公と女主人公が紅茶を気に入ったようで盛り上がり始めた。
場の空気はよくしてくれるのはいいが、俺の話題を振るのはまずい。
「そうです! ルークはすごいんです!」
俺の危惧通りアイリスは不満そうな顔から一転、我が意を得たりといった様子で声を上げる。
もはやこうなればアイリスは誰にも暴走特急になる。
「あれは7歳の時、私たちが初めて──」
アイリスは俺と初めてあった時から一年ほどの軌跡を滔々と語ると教室での井戸端会議はお開きになった。
────
まあ初対面だし、急に縮めるよりも様子見程度でいいだろ。
初対面からコンタクトさえなかった本来のストーリーよりは前進してることは間違いないし。
「ルーク、抱きしめて添い寝して」
「かしこまりました。お嬢様」
寮に戻り、アイリスが寝る段になると添い寝するように要求してきたのでアイリスの頭を抱きしめて添い寝する。
大勢の前で挨拶して、押し寄せる知らない人間を少なくない人数捌いていたからそれ相応にストレスがかかっていたようだ。
腹に豊満に育った胸が当たってやばい。
「発情したメスの匂いがする……」
俺が内なる自分と戦っていると両肩に手がかけられ、ハイライトの消えたアイリスの青い目が浮上してきた。
今日はアイリスの見ていない範囲で女と接していないはずだと記憶を巡らすとサラシのヴィクトルのことを思い出した。
「ルークにメスが近づこうと私は気にしないけど。ルークが誰の所有物かよくわかってもらわないとね」
アイリスは再び下降すると自分の匂いをマーキングするためか、身を擦り付けると俺の体に唇を這わせ──キスマークを作り始めた。
明日鏡を見たらすごいことになってそうだ。
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