第4話 お嬢様全肯定bot


 復興のための措置を終えると、俺は執事見習いとして奉公を始めた。

 もっぱら父の手隙の時間に教育を受け、半年経つと免許皆伝をもらい、正式にアイリスのそば付きの執事となった。


「ルーク、遊んでちょうだい!」


「かしこまりました。お嬢様」


「ルーク、お母様が馬鹿者っていうのひどいと思わない?」


「ひどいと思います」


「ルーク、雷が怖いわ! 雷を消して!」


「かしこまりました。お嬢様」


「ルーク、お花畑に連れてって!」


「かしこまりました。お嬢様」


「ルーク、戦場で歌を歌わなきゃいけないなんて怖いわ」


「私も共に行きます。ご安心ください」


「ルーク、私頑張ったわよね!」


「お見事でした。お嬢様」


「ルーク、新しいドレスなんだけど似合ってるかしら?」


「お似合いでございます。お嬢様」


「る、ルーク。足を舐めて」


「かしこまりました。お嬢様」


「ルーク、剣士隊と分断されてもうだめだわ」


「ご安心下さい。お嬢様を必ず生還させます故」


「ルークはどんな子が好きなの?」


「お嬢様のような方です」


「ルーク、眠れないの。添い寝して」


「かしこまりました。お嬢様」


「ルーク、頭を撫でて」


「かしこまりました。お嬢様」


「ルーク、学園には従者枠で入学して」


「かしこまりました。お嬢様」


 それからというもの俺は基本的にお嬢様──アイリスの言う言葉には肯定的な返事をするようにした。

 大概の人は自分の意見を肯定する人間は持ちにくいからだ。

 例え悪い方で捉えられたとしても破滅させてやろう思えるほどの敵愾心は自分を否定しない奴には持たないだろう。

 実際今のところ、嫌っているような素振りは見られない。

 ゴマ擦りは上手く行っているとみていいだろう。

 学園に行って破滅することはまずなさそうだ。


「執事の小僧。勘のいい自分を恨むことだな」


 学園入学前なので、改めて破滅しないか頭を巡らせていると虫が屋敷に入ってきた。


「ナイフか。腕は良さそうだが。暗殺一家クリーク家の俺には効かな……ぎゃ!?」


 ナイフを投擲すると悪役貴族に雇われただろう暗殺者は絶命した。


 ────


「ルークか。入ってきた虫は処分できたようだな。明日からは学園に出向くことになる抜かるなよ」


「ええ。必ずお嬢様をお守りします」


 父に虫の沙汰について報告すると父の私室を後にする。

 明日からが本番だな。

 下準備は万端だがどう転ぶか。


     ───


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