第3話 ハリボテの丘 ( 山 )
「そろそろ、行くよん」ネオは羽を広げ飛び始めた。
丘を見ると、発泡スチロールやベニヤ板で出来た様な、岩山に見える。
...作り物にしか見えねぇけど...岩だな。レイチェルは何も言わねぇけど、どう見えてんだ...
レイチェルは、俺より上を登っている。
「レイチェ~ル、危ねぇから、気を付けろよ!」
「「うん、わかった。見た目と違って硬いのよね」やっぱり...ハリボテに見えてんのか...
丘の上で、周りを見渡すと...
木は、疎らに生え砂漠かと思える程に、砂が広がっている。遠くの方には、俺達が居た林とは、また違う緑色の森(林)が見えた。
「ネオ、何で こんなに岩や砂が多いいんだ?」ネオは振り返り
「それはね、人間のせいだよん」
「俺たちの?」
「君達もだけど、君達祖先の時代、大昔からさ」
「お爺ちゃんとかの時代なの?」俺達は、丘を下り始めた。登るより降りる方が、難しく感じた。見た目と違う、足の感覚に頭が付いていかないからか...
「それは最近の話だよ笑、もっと昔さ、今も現象は収まって無いけどねぇ」
「人間のせいで、緑が少なくなったのか?」
「そういう事ぉん」ネオは、踊る様に、左右に飛んでいる。
「ネオ、おまえ..のんきだなぁ」
「リアム!責められても、私達が困るじゃない。ネオは優しいのよ」
「そういう事ぉん」クスクス
「何で、其処で笑うんだ!めっちゃくちゃ不気味だろぉ」俺は尖った、岩に手を置いてた。
チョー!イッテェ~!口に出すと笑われそうだから....必死に、我慢した。
「不気味なん?そうなんやぁ」
「どれくらい歩いてる?光は有るけど..太陽の光だよね?」
「多分そうだろうなぁ...」俺は小声で、レイチェルに聞いた。
「なぁ、ここの世界の見た目...」レイチェルは、俺を見て口に人差し指を当てて「解ってる」と言った。
・・・俺達は便利な世界で生きていて、それと同時に自然を壊してる・・・
「やっと、山から降りたのねん」
降りると、周り一帯が砂漠だった。足元を見ると、発泡スチロールの粉....歩くと粉が舞い上がるかと思ったら、舞いながら無い...
「道の奥に、木の柵がみえるやろん?」
「あの、小っこく見えてる茶色い物体か?」
「そうだよん。早く街に入らないと....暗くなるとね....」...暗く成ると、どうなるんだ...
俺達は、街を目指し歩き始めた。
「ネ.ネオ、暗く成ると...どうなるの?」レイチェルは、恐る恐るネオに尋ねた。
「聞きたい?」俺とレイチェルは、顔を見合わせて、同時に
「聞きたい!」ネオは、ニヤリと笑い。
「本当に、聞きたいのかなん?いいの?」
「何なんだよ!早く言えよ」ネオは、振り返り
「ティッチが、出てくるからさ」
「ティッチ?何か、かわいい感じね♪」
「可愛いんか、解らんけどねん。盗賊の怖い魔女だよん」盗賊の怖い魔女?赤ずきんに出てくる魔女を、俺は想像した。
「その魔女は、怖いの?」
「怖いっちゃー、怖いかもねん。でも僕は、駿足で飛べるからねん♪」レイチェルは、青冷めていく...「魔法で、俺達も飛べるようにしろよ!」ネオは、白けた顔で
「それは、無理ぃぃーなのねん」
妖精なのに、魔法使えねぇのか....あり得ねぇだろ....
俺の思考を見抜くような目で、ネオは俺を見た。
「早く歩きやぁー。まだまだ先やでぇ~」
俺達は、発泡スチロールの...違った...
砂漠の道を、早歩きで街に向かった。
歩いても、歩いても柵との距離が縮まっている感じがしない。
俺は、ペットボトルの水を飲んだ。
「レイチェル、休憩しなくても大丈夫か?」
レイチェルも、水を飲み
「疲れよりも、ティッチが来る方が怖いから、ひたすら歩くわ」
「ネオ、お前は飛んでて疲れねぇのか?」
「しんどいに、決まってるやねん」
だから...関西弁...微妙...
「水、飲むか?」ネオは、俺の横にきて
「ミルクぅが、飲みたいなぁ♪」
「ミルクは、街に着いてからだ」
「チッ!」俺は、ネオの顔をガン見した。
「水で、ええよん」ペットボトルを渡し
前を見ると
「街の柵が、大きく見えてきたぜ!もうすぐじゃん」木の柵が、大きく横に広がっている。
俺とレイチェルは、嬉しくなり、足取りがより一層 早くなった。
「まだまだ、先やねんなぁ」コイツわぁ...
「でも、少しは近付いて来たでしょ。歩けば近付くのよ」俺とレイチェルは、黙々とより一層早く歩いた。
何キロ、歩いたのか...足取りが遅くなり
顔や首から汗が噴き出してきている。
柵は、大きく見えてきた。
柵?柵なのか?段ボール切って、並べたのか?
「もう少しで、着くねんなぁ。」
「やっと、着くのね」レイチェルは、前を見て口を開けて驚いていた。
段ボールだよな....
近づく度に、柵が高くなっていき、横幅も広くなっている。
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