第二章 兄弟と深まる交流
2-1
レナが
家のことはしなくていい、二人がしたいことをしてほしい、と話をしたが、それが逆に兄妹を
それはすなわち、実家で二人がどういった
可能な限りヘルガとルカが二人の相手をしてもくれるが、丸一日共に過ごすわけにはいかなかった。
レナも
そんな時は二人で部屋に引きこもり、エリアスがカリンに本を読み聞かせているようだ。
引き取ったもののその後が良くない、とレナは
大人に対しての不信感も大いにある二人だ。それらを取り除き、安心して暮らせる
「ううん
エリアスの
さらには幼い妹を守らねばならないのだから余計にだ。
それらの諸悪の根源は義家族なわけだが、そんな事情を知ったとしても助けなかったのなら他の大人も同罪である。
兄妹にとって、レナは救ってくれた相手ではあるけれども、だからといってすぐに
今は助けてくれているけれど、それはいつまでなのか。いつ気が変わるのか。いつ、自分達を捨てるのか――。
大人だって裏切られた経験があればその傷はなかなか
「今は、少しでも近づくのを許してもらえるように
カリンは時折
エリアスは食事の席で好物が出た時には遠慮がちとはいえおかわりをしてくれる。甘え、というにはあまりにも
レナにできるのは、兄妹を守るために義両親を札束で
つまりはより多く
その日は朝から天気が悪かった。重く
レナとしても二人が無事に帰宅できるか心配せずにすむのでほっとする。
早々に食事を
ふと、小さな音が聞こえたのはその時だ。
一瞬聞き
される。
だが、レナの耳には確かに聞こえたのだ。怯える小さな少女の声が。
その声の主がカリンだと気付いた瞬間、レナは部屋を飛び出した。
真っ暗な室内に響く小さな悲鳴。ガシャンと物の割れる音。ベッドの下にうずくまる小さな
窓から
どうやら近くに落ちたらしい。だが、それよりもレナの意識は目の前の二人に向いたままだった。
「――ごめんなさい」
雷鳴にかき消されながら、泣きじゃくるカリンの口から
は胃の底から
*****
「ごめんなさい……ごめんなさい」
「カリン
小さなカリンをしっかりと
「……すみませんレナ、カリンはその……雷が苦手なものですから」
「え……ええ、それは仕方がないです、
またしても雷鳴が
そんな兄妹の周囲がキラキラと
そんな
レナが近づけばカリンは泣き叫ぶ。
「ごめんなさい、おとうさまごめんなさい! わたしが
「カリン! 僕は大丈夫だから!! すみませんレナ、コップを落として割ってしまいました。
「わたしが落としたの! 壊したのはわたしなの!」
「落ちないようにもっと遠くに置いておかなかった僕が悪いんです!」
「おにいさまを
レナは
抱きしめる。
「大きな音がしてびっくりしましたねカリン。もう大丈夫、こうしていれば聞こえないでしょう? ほら、少しだけ音が小さくなった」
いまだに轟音ではあるけれど、真上付近は通過しつつあるのか
「……ごめんなさいおとうさま……おかあさま……ごめんなさい」
「どうしてカリンが謝るんです?」
「コップを……割ってしまったの……」
「レナはそんなことでは怒りませんよ」
あえて
「レナ……?」
「そう、ここにいるのはレナとカリンのお兄様のエリアス様です。カリンのことが大好きな二人しかいません」
カリンがおずおずと顔を上げる。
「でも……コップ……」
「コップは落ちれば割れるものです。それより破片で
たりは?」
レナの問いにカリンは静かに首を横に振る。エリアスも同じくだ。
「なら良かった。でもこのままだと危ないので、今日は私のベッドで
え、と固まる兄妹にレナは
「ベッドの上に破片が散っていたら危ないでしょう? だから今晩だけ私のベッドで
寝相が悪いのに安心とはこれいかに、と自分自身に
カリンはエリアスにしがみついたままだが、立つのを
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