第一章 兄弟との運命の出会い
1-1
レナは王都の西にある小都市で生まれた。小さな
初めはハンカチやスカートの
家族から
それが大層気に入られ、レナは
「その方の
リカルド・マイアー男爵子息は一言で言うならば
そなんとか生活できてはいるが、これが平民であったならば相当な苦労をするだろうことは一目で分かるほどに。
それでも親にとっては
レナは
年若いのに自力で収入を得ている。それらがどうもお眼鏡にかなったらしい。
男爵家からの必死の説得と、世話になっているご夫人からの紹介というのもあって、レナは最終的にリカルドとの婚約話を受け入れた。
リカルドは愚かではあるが性格まで
息子のそんな姿に男爵夫妻は大層喜び、これもひとえにレナのおかげだと感謝していた。
だが、その年の冬。領主
「私を婚約者として正式にお
「婚約
エリアスの信じられないとでも言わんばかりの表情に、レナは静かに
「あげく、そこで婚約
衆人
もちろんこれは完全なる言いがかりだ。レナに非は全くない。彼
に彼女と共にある!!」とまさに自己
「後から知った話ですが、その時彼と
「伯爵家との繫がりのために、
「……それならまだ良かったんですが」
その
レナに色々と教えてくれたのは
込めてやった」と
「その方にそこまで
自分より目立つ庶民が気に入らない。それだけの理由で
「そんなことのために……婚約破棄を?」
エリアスの常識からは
「でもそれでは貴女は何も悪くはないじゃないですか」
「ええ……そこで終わればそうのはずでしたが……」
いくら相手が庶民だからといってもこれはあまりにも一方的すぎる。夜会の場であるというのも論外だ。
貴族としてあるまじき
だが、自分に
「ネナーテ様はすでにリカルド様の子どもを
エリアスは絶句する。そんな彼の前で、レナは
「私と婚約をしている状態で
ついにレナはキレてしまった。それはもう盛大にキレた。
「馬っ鹿じゃないの、っていうか馬鹿! 馬鹿だわ大馬鹿よ何やってんのよこの馬鹿! ええ知ってたわよあんたが典型的な馬鹿息子だってはじめっから知ってた! けどね、あんたのご両親はそりゃあいい方だもの! そんな方達の血を少なくとも
レナは庶民である。近所には力仕事で活躍する根はいいが
その
そんなレナから放たれる
「百歩
った!? 私は元より、婚約者がいるのにそれを奪ったっていうのがまる分かりよ!? そんな状態に真実の愛のお相手だっていうそこのオヒメサマ
「この時点で
婚約者がいる相手と浮気をし、その状態で子まで成した。それだけでも白い目で見られるだろう。だが、その事実は
「あんたら二人が世間からどう見られようとほんっっとうに構わないわ! 一生ひそひそされてればいいし、そんなの気にするようなか細い神経なんて持ってないでしょ! 私もいいわよ、何一つ悪いことしてないもの、言いたいヤツは好きに言えばいいしね。その分全力で言い返すけど!! でもね、あんたらの子どもはそうはいかないでしょ!! 一番あんたらが守らなきゃいけない存在を、今の時点で最悪の状態に置くってどういう神経してんのよこのド
婚約を破棄された怒りや悲しみよりも。
人前で
新たにこの世に生を受ける子どもが、すでに不義の子であると晒されているのがレナは一番許せなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます