第20話 新たな協力者

冷たい夜風が二人の体を刺す中、香織と涼介は、カフェの中で一息つくことができた。彼らの前に現れた中年男性、名は藤村龍也といった。彼もまた、影山に深い恨みを抱えている人物だった。


藤村龍也: 「影山に恨みを持つ人間は少なくない。君たちの話を聞いて、協力を決意したんだ。」


香織: 「藤村さん、本当に助かります。涼介がこのままでは…」


涼介の顔はまだ蒼白で、体力も限界に近かった。しかし、藤村の助けを借りることで、少しの希望が見えてきた。藤村は香織たちを自身の隠れ家へと案内し、そこで涼介の傷の手当てを始めた。


藤村龍也: 「まずはここで安全を確保しよう。そして、影山を追い詰めるための計画を立てるんだ。」


香織の心の声: 「藤村さんの助けがあれば、影山を追い詰めるための新たな手がかりが得られるかもしれない。」


藤村の隠れ家は港町の一角にあり、外からは目立たないように巧妙に隠されていた。香織は涼介の手当てをしながら、次の一手を考えた。


香織: 「藤村さん、影山の次の動きについて何か情報はありますか?」


藤村は深刻な表情で頷き、影山の不正取引に関する新たな手がかりを提供した。


藤村龍也: 「影山の次の動きは、今夜行われる密会だ。場所は門司港駅の構内。そこで重要な取引記録が保管されているはずだ。」


香織と涼介は、この情報をもとに影山の計画を阻止するための作戦を練り始めた。


涼介: 「今夜が決戦の時だな。影山を追い詰めるために、全力を尽くそう。」


香織: 「ええ、これが最後のチャンスかもしれない。」


その夜、香織と涼介は藤村と共に門司港駅の構内に潜入した。駅舎の中は静まり返り、古びたレンガ造りの壁が不気味な影を落としていた。彼らは慎重に影山の手下たちを避けながら進んでいった。


香織の心の声: 「この場所に影山の秘密が隠されているはず。ここで全てを終わらせるんだ。」


涼介の心の声: 「香織を危険な目に遭わせるわけにはいかない。この任務を果たさなければ。」


影山の手下たちの監視をかいくぐり、香織たちは駅舎の奥深くへと進んだ。そこには古びた書類が詰まったキャビネットがあり、その中には影山の不正取引の詳細な記録が保管されているはずだった。


しかし、香織がキャビネットを開けようとしたその瞬間、背後から銃声が響いた。彼女が振り返ると、そこには影山が立っていた。


影山: 「終わりだ。お前たちにはここで消えてもらう。」


香織と涼介の心に絶望が広がる中、影山の冷たい目が二人を見据え、彼の手には拳銃が握られていた。その時、藤村が影山に向かって突進し、香織と涼介に逃げる隙を作った。


藤村龍也: 「早く行け!ここは俺が引き受ける!」


香織と涼介は藤村の勇気に感謝しながら、決定的な証拠を持ち駅の出口へと走り出した。暗闇の中、彼らの逃走劇が続く。


香織の心の声: 「これが、全てを終わらせるための最後の戦いだ。」


涼介の心の声: 「香織を守り抜いて、この不正を終わらせるんだ。」


駅の出口が近づく中、背後から再び銃声が響いた。香織は涼介を守るために立ち止まり、影山と対峙する覚悟を決めた。


香織: 「涼介、先に行って!私はここで影山を食い止める!」


涼介: 「香織、そんなことできるわけがない!」


影山の手下たちが迫り来る中、香織と涼介は互いの決意を胸に、最後の戦いに挑む。影山の不正を暴くための証拠を守り抜くことが、彼らの使命だった。

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