第4話 追跡の始まり

香織と涼介は、黒川浩二が山田隆二と接触していた事実を確認し、彼が不正融資に関与している可能性が高いことを確信した。次に二人は、黒川の行方を追い、その背後に潜む闇を解明するために動き出した。


まずは黒川の過去についてさらに調べるため、香織と涼介は図書館に向かった。図書館では過去の新聞記事や、黒川に関する資料を探し始めた。


香織「ここに黒川が関与した過去の事件についての情報があるかもしれない。手分けして探しましょう。」


涼介 「了解。俺は新聞のバックナンバーを調べてみるよ。」


二人は黙々と資料を探し始めた。しばらくして、香織が一つの記事を見つけた。


香織「涼介、これを見て。黒川浩二が金融詐欺で逮捕された時の記事よ。彼の手口や関与した組織について詳しく書かれている。」


涼介「これで黒川の過去が少しずつ見えてきたな。彼がどのように不正融資に関わっていたのか、もっと掘り下げてみよう。」


その後、香織と涼介は信用金庫に戻り、さらに黒川の現在の動向を調べるため、IT担当の高橋健一に再び協力を依頼した。


健一 「黒川浩二の名前で検索してみると、最近も複数の金融取引に関与している可能性が高いです。特にこの取引は不自然ですね。」


香織「この取引を辿れば、黒川の現在の行動がわかるかもしれない。彼の居場所を突き止めましょう。」


涼介「それと、山田さんが調査していた他の証拠も確認してみる必要があるな。彼が集めた情報には、まだ何か重要な手がかりが隠されているかもしれない。」


その日の午後、香織と涼介は黒川の現在の行方を追うために、情報を整理し次なる手がかりを探すことにした。


香織 「高橋さん、他に黒川に関する情報は見つかりましたか?」


健一「ええ、この住所が最近の彼の活動拠点として浮上してきました。」


涼介「まずはその住所に関して、どんな場所なのかを調べてみよう。」


香織と涼介は、提示された住所がどのような場所かを調べるために、インターネットで検索し、さらに地元の警察にも協力を依頼することにした。警察には、山田の事件の調査の一環として情報提供を求めた。


警察官「この住所は、以前から目をつけていた場所です。少し不審な活動が報告されていますが、具体的な証拠はまだ掴めていません。」


香織「そうですか。私たちも調査を進めていますが、何か情報が得られたら教えていただけますか?」


警察官「もちろんです。お互い協力し合いましょう。」


その後、香織と涼介は提示された住所の周辺を調査することにした。現場に到着すると、住所は古いビルの一角にある事務所だった。香織と涼介はそのビルを注意深く観察し、出入りする人物や周囲の状況を確認することにした。


香織「涼介、ここで少し様子を見てみよう。何か手がかりが掴めるかもしれない。」


涼介「そうだな。何か怪しい動きがないか見てみよう。」


ビルの周辺を見張りながら、香織と涼介は出入りする人物を観察していた。その中で、黒川と特徴が一致する人物が事務所に入っていくのを目撃した。


香織「涼介、あれが黒川かもしれない。」


涼介「間違いない。あの人物を追ってみよう。」


二人は慎重に黒川の動きを追い始めた。彼がビルを出た後、別の場所に向かうのを確認すると、香織と涼介はその後をつけることにした。


黒川が向かった先は、繁華街の一角にあるカフェだった。香織と涼介はカフェに入り、離れた席から黒川の様子を見守った。黒川は誰かと会う様子で、しばらくするとスーツ姿の男性が現れ、二人は静かに話し始めた。


香織 「涼介、彼が話している相手が重要な手がかりかもしれない。」


涼介「会話の内容を確認するために、できるだけ近くで聞いてみよう。」


香織と涼介は慎重に席を移動し、黒川と男性の会話を聞き取ろうとした。二人の会話は小声で、断片的にしか聞こえなかったが、不正融資や取引に関する内容が語られていることがわかった。


黒川「計画通りに進めば、次の取引で大きな利益を得られる。」


男性「確かに。しかし、警戒を怠らないように。山田の部下が動いているという情報が入っている。」


香織の心の声「やはり黒川が関与している。次の一手を見つけなければ。」


この一言で、香織と涼介は次の調査の方向性を掴んだ。彼らは黒川の行動をさらに追い、真実に迫るための準備を始めた。

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