第3話 ライアット・フォニー・ノイギーア

まだ雨が多い時期なので、

雨宿りに時計塔に寄った時の事であった。


この時計塔とてつもなく猫が多い。

それもオス猫ばかりなようだ。


「こんにちは~!」


傘を借りるなり出来れば良いのだが、

時計塔へこの世界の挨拶を大声で叫んでみた。

自分の声がこだまするばかりで人の気配がない。


「こんにちは。」


人の気配は確かにないままで、

僕の後ろに短髪で銀髪の顔に

少し皺がある紳士が居た。


「通称・猫の時計塔になんの御用かな?」


「なぁうううん。」


猫を撫でながら紳士が僕に訊ねる。


「妖精族の旅人のほし めぐま。

傘を借りられないか、

雨宿り出来ないものかと

ここに立ち寄りました。」


「おや、それはそれは珍しいね。」


紳士が帽子を外して綺麗に一礼する。


「ところで…2人っきりですね。」


ニヒルな笑身を浮かべる紳士に僕が身構えたら、

もちろん冗談。と言って笑みで頬の皺が濃くなった。


時計塔の猫達と僕が仲良くなったのは

また別のお話。

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