第11話 4日目 く、苦しいですわー

 お昼寝から起床したトモとクイーンは、ゴブリンの青鬼と黄鬼を先頭に周辺の森を探索を開始した。


「青くん!黄っくん!頼みますわ!」

「ゴブ!」

「ゴブゴ!」


 ゴブリンたちは元気にサムズアップをする。トモが通れるように雑草を切り倒して行く。


『ああー大丈夫かなー』

『心配だわー』

『あいつだけには会うなよー』

『あいつ?』

『あっ!!』


 配信画面の上部に垂れ下がるアイツがいた。トモたちは誰一人として気付いていない。

 そしてそいつはトモが下を通った瞬間、ぬるんとトモ目掛けて落下した。車椅子を押していたクイーンが気付き、爪で切り裂いたがそいつはぬるんとクイーンの爪を通り過ぎ、トモの顔面に着地した。


「みゃ!!」

(ごふふ?!何事ですわ!これなんですの!取れませんわ!)

「ゴブ?!」

「ゴブゴ?!」


 主の危機を察知したゴブリンたちも加わって、どうにか引き離そうとするがそいつの身体は、液体。掴む事が出来ない。


『ぎゃー!!』

『お嬢!』

『誰よ!スライムのフラグ言ったの!!』

『すまねえ……』

『本当にヤバいわよ!』

『誰か魔法を!!くそ!全員物理だ!!』


 コメント欄も阿鼻叫喚の嵐である。


(口に入って来ましたわ……く、苦しいです……わ)


 顔が青くなっていく。刻一刻とトモの生命が終わろうとしていた時、口に入って来たスライムを味わうしか出来なかった。


(……メロンソーダですわ。ごくん)


『え?』

『え?』

 :

 :

『え?飲み込んだ』

『お嬢、遂に狂った』


[【寄生グリーンスライム】を飲み込みました。【寄生グリーンスライム】がトモの胃に寄生しました]


「わたくしあのメロンソーダに寄生されてしまいましたわ……」


 トモが呆然とする。


『スライムって食えたんだな』

『てか、メロンソーダって』

『寄生されて平気なのかしら』


[【寄生グリーンスライム】の名前が【メロンソーダ】になりました]

[Zoo online内に置いて、初めて【寄生グリーンスライム】と運命共同体になりました。称号【グリーン寄生人間】をトモさんにプレゼントします]


【称号:グリーン寄生人間】

 効果:余剰分のカロリーを代わりにスライムが接種します。身体に外になる物を吸収します。

 取得条件:【寄生グリーンスライム】を自らの意思で生きたまま飲み込む。


【寄生グリーンスライム】

 どんな森にも住んでいるモンスター。スライムと侮るなかれ、斬撃を無効化し、打撃を半減する為、魔法攻撃しか効かない。近接プレイヤーの悪夢。


「クイーン!わたくし太る心配がなくなりましたわ!!」

「みゃん?」


 グリーンは何のことかと頭を傾げた。


『まさか!スライムを食べると太らなくなるのかしら!』

『それなら凄えのか?』

『だって俺らゲームのアバターが太らなくなったってどうするよ?』

『あう。そうだったわー』


 太らないと聞いて女性プレイヤーが歓声が上がったが、結局現実では変わらず太るのだと思い、落胆したのだった。


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