第3話 1日目 菜園管理ですわ
『やっと何かを始める見たいだな』
『そうね』
視聴者が覗いているとも知らずに、家から車椅子に乗ったトモが出てくる。その車椅子を押しているのは、なんと!クイーンであった。
「クイーン助かりますわ」
「にゃお」
『いやいやいや!うちの相棒そんな事してくれないよ』
『面倒見良すぎよ』
『俺のフクちゃんもコップくらいの持ってきてくれるぞ、流石に車椅子は押さないが』
(さて、確か龍ちゃんが【菜園管理】と、おっしゃれば宜しいのでしたわ)
「【菜園管理】ですわ〜」
トモの声に合わせてウィンドが表示される。
【菜園管理】とは、車椅子で動けない貴女が農業をしたいと思う気持ちを叶える為の能力。
自動で畑を耕し、自動で指定した種を蒔き、自動で採取する。一度セットした物は解除するまで定期的に育つ。また、失敗する可能性があるが自分で思った物を想像できる。
【菜園管理】レベル1
栽培可能個数1
栽培可能品
ほうれん草・リーフレタス・小松菜・ネギ・シソ・じゃがいも・人参・かぶ・ラディッシュ・きゅうり・なす・ピーマン・ミニトマト・枝豆・イチゴ
「ふむふむ、じゃあわたくしの好物イチゴにしますわ!!」
[目前の木を伐採し、自分の畑にしますか?]
「しますわ!」
一瞬で木が消滅し、地面が耕されイチゴの種が蒔かれる。
[木材はアイテムBOXに収納されました]
(アイテムBOX?それは何かしら?まあ、それは良いとして、耕すのはこんなに楽な事でしたのね。楽ちんですわ〜)
テレビで見た農家の人たちはこんな事が出来るのかと感心していた。
『農家系スキルだったのか』
『マジか!モンスター出てきたらクイーンちゃんに頑張ってもらうしかないな!』
『ええ。頑張ってクイーンちゃん!!』
応援されているクイーンは、菜園の近くの木陰で日向ぼっこしていた。
「わあ!もう芽が出ましたわ!!」
『はあ?!』
『そんなに早く育つもんなの?誰か農家プレイヤーはいねえか?』
『あー儂農家じゃが、普通は種を蒔いて早い作物で2日じゃな、高級肥料とか使えば縮むが、最高級の資材を使用しても半日が限界じゃ、それもイチゴならもっと掛かるはずじゃ』
『やっばりそうだよな』
コメントを打っている間にイチゴは元気に育ち、実を成していた。
「イチゴさんてこんなに早く育つのですわね」
『いやあてはさ』
『動揺し過ぎて変なコメントになってるぞ〜』
『こりゃあたまげた。どうやってんじゃろうな』
慌ただしいコメント欄は置いといて。
「そう言えば、【菜園管理】は自動で回収出来るって書いてありましわ。どうやるのかしら?」
[イチゴを回収しますか?]
「宜しくですわ〜」
イチゴが曲に合わせて自ら苗から外れていき、突如現れたわたくしの膝の籠に収まっていく。
『イチゴが一人でに』
『怖?!』
『ホラーだわ』
『うわ。もう次の実がなっとるのじゃ』
『そっちの方がホラーじゃねえか!!』
イチゴに恐怖を覚える視聴者たちとは、裏腹に純粋に凄いと喜ぶトモ。
「イチゴ食べ放題ですわ!!まずはお一つ!パクッ!……甘いですわー!!練乳何か必要なしですわ!!うまうまですわー」
「みゃー」
クイーンは美味しそうにどんどん実った側から食べていくトモを母みたいな顔で見守っていた。
[強魔力イチゴを三十個食べました。MPが三十増えました。]
何故かただのイチゴで魔力が増えていたが、まずMPという概念を理解していなかったのだった。
昼から陽が沈むまでイチゴを食べたり、空をぼーと見ながらクイーンを撫でてゲーム世界での一日は終わった。尚、一緒に転移した家は周りに漂う魔素によって普通に稼働したという。
電気が無いのに普通に動く事には気にならないのか?と思う視聴者さんたちだった。
「おやすみなさいクイーン」
「みゃー」
マイベットでクイーンと一緒に眠りについた。未だログアウト出来ない事に気づいていないようだ。
デスゲーム1日目トモの能力変化
トモ
レベル1
HP:10/10
MP:10/10(+ボーナス30)
筋力:3
魔力:10
防御力:5
敏捷:-100
スキル
・【菜園管理】レベル1
魔法
・なし
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