第4話 ミコル、エロトラップダンジョンへ
「アリアさんたちはどうしたんだよ! キリカさんも居ないじゃないか!」
そうだそうだ!――と、タシルと呼ばれた冒険者さんがユーキさんに問いかけると、周りの冒険者の皆さんも同意の声を上げました。私たちは現地集合で
「居るわけねーだろ。お前らの魂胆は見え見えなんだよ」
「なっ、何だと!」
「俺たちは純粋に地下迷宮の探索をだな……」
「そうだぞ、メンバー募集に応じただけで……なあ?」
何故か皆さん後ろ暗い所でもあるのか、そう言いつつも目を逸らしていました。
「俺だって下調べくらいしたんだよ。冒険者が戻ってこない地下迷宮のことくらいな!」
「なにっ?」
「タシル、お前この地下迷宮に入ったことがあるだろ?」
「なっ!? いや、オレは初めて……」
「嘘を吐け! ナディカから聞いたぞ。昔、この地下迷宮に入ったはいいが、あまりに恥ずかしい目に遭ったんで秘密にしてるってな!」
「ナディカあの野郎……」
「他にもここに入ったことのあるやつがいるだろ? この中にどんな罠があるか知っている上、中には恥ずかしくて他所の町へこっそり逃げた奴や、冒険者をやめて田舎へ帰った奴まで居るってな!」
ユーキさんがそう言うと、冒険者の皆さんは黙りました。
「じゃあなんで人を集めたんだよ! キリカさんのあんな姿やこんな姿、観られないなら来た意味がねえじゃんよぉ……」
マダキさんという方が哀れげな声を上げながら膝から崩れ落ちます……。
「報酬が出てるんだよ。金貨480枚のな!」
「480枚!?」
「ああ、そこから人を雇った分を引いて、皆で山分けしようって話だ」
「マジかよ!」
「マジだよ。こんなの、命の危険が無い罠ばかりなんだから男の冒険者
「よくも……よくも騙してくれたなァ……」
「だが金貨480枚……」
「どうするよ……」
「あ、あ、あの……」
冒険者の皆さんが相談し始めたところで手の空いたユーキさんに声を掛けます。
「――よくわからないのですが、女の冒険者はダメなのでしょうか?」
「あ、えっと、ごめん。まさか女の人が来るとは思ってなかったから……。ミコルはまだ小さいし、やめておいた方がいいと思うよ」
ユーキさんは申し訳なさそうに謝られました。シャロさんからは、この地下迷宮にはあまりいい噂を聞かないからやめた方がいいと止められましたが、ユーキさんと一緒に探索できるというので私だけやってきていたのです。
◇◇◇◇◇
「よし、携行食は持ったな! 忘れるなよ。
ユーキさんが探索開始の合図を上げます。結局、探索に残ったのは私を入れて17名。私以外はみんな男の人ばかりです。私は結局、ユーキさんに止められ、キャンプで食事だけしていくように言われたのですが…………納得のいかなかった私にペコが手を貸してくれたのです!
ペコは私に乗り移ると、私の背を大きくしてくれました。それこそユーキさんよりも大きいくらいに。体つきもしっかりして筋肉までつきました! ただちょっと、胸がなくなってしまいました……。そこだけは残念です。あと服がきついです……。とにかく、私はその恰好でユーキさんと交渉したのです。
『ミ、ミリアと申し……申す。わた、私も参加させてくだ……ほしいのだ』
噛み噛みでそう言うと、
そして今に至ります。
「おおー…………」
ユーキさんに応えた冒険者の皆さんが、いまひとつやる気の無い声を上げました。
◇◇◇◇◇
雨避けなのか、少し階段を登ったのち、広い8尺ほどの幅の通路に入ります。
ゴブリンの巣穴と違って通路は石が敷き詰められ、壁も石組みです。ゴブリンの巣穴は土壁ですので、いつ崩れるかと最初は怖かったものですが、
地下迷宮はそれよりもさらにしっかりしているので、見た目にも安心できます。
私は胸元と
私は硬い飴を口に入れます。冒険者向けに作られた中央に穴の開いた飴と、同じく中央に穴の開いた岩塩をいつでも取り出せるよう
「ミリアさんは俺から離れないように」
ユーキさんがそう言ってくれましたので、すぐ傍について歩きます。
ユーキさんはというと、全身を覆う鎧に短めの直剣を佩いていました。鎧がすごくかっこいいです。ここには怪物が出ないと言う話ですが、地下迷宮の場合、怪物が召喚されていることも多いのだそうです。
「ユーキばっか女子の傍に居るんじゃねえよ」
「ミリアさん、こいつ女たらしだから傍に居ない方がいいですよ」
「いえ……いや、私はユーキさんの傍で構わない」
そう言ってユーキさんに身を寄せます。
「いや、お前ら…………全員で同じ方向に向かっても仕方がないだろ? 道は3つに分かれてるんだから分かれて調べようぜ」
地下の通路は斜めに三方向へと分かれていました。ユーキさんが指示すると、最初に班分けしていた人たちがしぶしぶ別の道へと向かいます。
ひんやりとした空気の中、6名で進んでいくと通路は僅かな勾配で下っていきました。
「!!」
突然の事でした。
ふっ――と足元の床が消え、宙へ浮く感覚に囚われたのです。
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ミコル、早速のピンチ!
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